藻場ブロックでCO2吸収 震災がれき処理手がけた業者と大学などタッグ、酒田港で実験開始

東北の大学や建設会社など26団体でつくる「資源循環コンソーシアム」(代表・北辻政文宮城大教授)が、海草や藻類を育てて二酸化炭素(CO2)を吸収させる「ブルーインフラ」の実証実験を酒田市の酒田港で始めた。

 コンソーシアムは東日本大震災後のがれき処理の共同事業体が母体。処理終了後は東北大、宮城大、福島大などが加わり、建設資材の再利用や磯焼け対策のコンクリート素材の改良などに産学連携で取り組む。

 18日には関係者らが、海草や藻類の生育場所となるブロック計4個を海中に沈めた。これまでのブロックと比べてCO2排出量を抑えた素材を使用。鉄鋼スラグと粉末のクエン酸を内部に設置することで、海藻の養分となる鉄分の水溶性を保ち、藻が育ちやすくなるように工夫した。

 コンソーシアムは、釜石市や大船渡市、宮城県七ケ浜町でも地元漁業関係者と連携して藻場ブロックの実験を進めており、将来的な製品化も見据える。

 北辻教授は「がれき処理が終わり、今後は各社の強みを生かしながら環境負荷の少ない素材開発を進めていきたい」と話す。

 海草や藻類が吸収する炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、CO2吸収源として注目されている。国土交通省は酒田港など全国125の主要港湾を「カーボンニュートラルポート」と名付け、脱炭素化を進める。

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