ついに世界4位に転落――。国際通貨基金(IMF)は23日までに、2023年の日本のドルベース名目GDP(国内総生産)が、ドイツに抜かれて世界3位から4位に転落する見通しを示した。1ドル=150円近くまで急激に進んだ円安によってドル換算で目減りしたことや、物価変動が影響する名目GDPであるため、日本以上に高いドイツの物価上昇率が反映された結果と見られるが、経済評論家の山本伸氏はこう話す。
「長年の社会の非効率が招いた結果。日本はいまだに能力のない人が会社上層部に居座ったり、能力のある人に高い給与を払わず海外に流出させたり、政治も専門性が求められるところに年功序列で素人を起用している。こうした積み重ねが日本経済を腐らせ、ついに名目GDPで4位に転落するという事実を突き付けられる事態を招いた」
高度経済成長を成し遂げた日本は、1968年に名目GDPで世界2位に躍り出ると、10年に中国に抜かれるまで長年世界2位の座を守り抜いてきたが、もはや見る影もない。
日本経済の停滞ぶりは、ドイツと比較すると如実に表れる。90年は日本の名目GDPが約3兆2000億ドルでドイツが約1兆6000億ドルだったのに対し、23年の推計値では日本が約4兆2300億ドルでドイツは約4兆4300億ドル。名目GDP成長率は、日本の約1・32倍に対してドイツが約2・76倍と倍以上の成長率となっているのだ。
「本来、名目GDPは生産性が等しければ人口の多い国ほど大きくなる。しかし、日本とドイツの人口を比較した場合、日本は約1億2000万人に対し、ドイツは8300万人と少なく、つまり日本の労働生産性が低いことを意味している。なぜ、日本の労働生産性が低いのか。それは結局、社会の非効率に帰結する」(山本氏)
既得権益という非効率の一掃をするしかないが、打開策はあるのだろうか。