仙台市は26日、現在の市役所本庁舎建設時の1965年に埋設された定礎箱を取り出す作業を報道陣に公開した。箱からは設計施工業者名が記された銅板などの史料10点が見つかった。
庁舎南側の解体を進める業者が正面玄関脇にあった定礎の大理石板をはがすと、コンクリートの壁をくりぬいた空間から鉄製の箱(縦30センチ、横25センチ、高さ3センチ)が現れた。
箱の中には、当時の河北新報朝刊や市広報誌「市政だより」、市職員や市議会議員の名簿などが入っていた。他には市役所の所在地が「表小路10番地」、総工費が約16億円と記載された文書も見られ、時の流れを伝える。
作業に立ち会った郡和子市長は「収納品は58年にわたり、市の歩みをひっそりと見守った。先人の思いを受け止め、新庁舎建設に向けて改めて身の引き締まる思いだ」と語った。
市は本庁舎の建て替えを前に、9月から現庁舎の一部で解体工事を進めている。2024年度に新庁舎の建設を始め、28年度の利用開始を予定する。総事業費は514億円を見込む。