大谷2世は巨人1位、仙台育英主将は阪神3位 プロ野球ドラフトで東北関係7選手が指名

26日に開かれたプロ野球のドラフト会議で、東北関係では西舘勇陽投手(中大、岩手・花巻東高出)が巨人に1位指名された。山田脩也内野手(仙台育英高)は阪神3位、辻本倫太郎内野手(仙台大)は中日3位、武田陸玖外野手(山形中央高)はDeNA3位、成田晴風投手(青森・弘前工高)は西武4位、大山凌投手(東日本国際大)はソフトバンク6位、権田琉成投手(TDK)はオリックス7位。計7人(育成を除く)が指名を受けた。

巨人1位 西舘勇陽投手(中大、岩手・花巻東高出)長身から最速155キロ

 2球団が競合した西舘は、巨人の1位が確定すると表情をあまり崩すことなくテレビ中継の画面をじっと見続けた。「巨人は伝統と歴史の多い素晴らしいチーム。その中でやれるのは本当にうれしい」と喜んだ。

 185センチの長身から最速155キロの直球と多彩な変化球を操る本格派右腕。大学4年間では先発も救援も経験した。今秋の東都大学リーグでは8試合に登板し、防御率1・11、リーグ最多の60三振を奪う活躍を見せた。プロでは「先発、リリーフのどちらでもいいので、1年目から1軍に帯同したい」と決意を述べる。

 同じ岩手県出身の大谷翔平(エンゼルス)や菊池雄星(ブルージェイズ)に憧れ、高校は花巻東を選んだ。「憧れは今も変わらない。2人に追い付けるように、これから成長していきたい」。偉大な先輩と同じドラフト1位でプロの世界に飛び込み、大きく羽ばたいていく。(中村紳哉)

阪神3位 山田脩也内野手(仙台育英高)華麗な守備が持ち味

 「運命かなと思う。またあの舞台で野球ができる」。3位指名を受けた山田は「まさか」と驚きの表情を見せた後、後ろで歓声を上げた仲間にガッツポーズで応えた。

 身長171センチ、71キロの右打ちの遊撃手。華麗な守備とスピードが持ち味だ。甲子園球場では昨夏、東北勢初の日本一を経験し、今夏は準優勝。今春の選抜大会を含めて計14試合を戦った。山田にとって阪神の本拠地、甲子園球場は既に「ホームグラウンド」だ。

 仙台市出身。3歳の誕生日プレゼントにもらったぶかぶかのユニホームに袖を通し、東北楽天の試合を見に行った。「そこからプロに対する思いが生まれた」。仙台市南吉成小6年時は12歳以下の日本代表に選ばれ、幼い頃から追いかけた夢をかなえた。

 今年は18歳以下の日本代表として世界一にも貢献。「いち早く1軍で活躍し、日本一に貢献できるようなプレーヤーになりたい」。プロで再び頂点を目指す。

DeNA3位 武田陸玖外野手(山形中央高)プロでも二刀流意欲

 DeNAから3位指名を受けた武田。同校出身で4年ぶりの吉報が校舎に届いた瞬間、残っていた生徒たちの歓声が響いた。「野球を始めてから、プロはずっと目標にしていた。うれしい」と笑顔を見せた。

 甲子園出場は果たせなかったが、投打ともレベルは高い。左腕から最速149キロの切れのある速球を投じ、打棒は高校通算31本塁打。9月のU-18(18歳以下)ワールドカップでも投打の二刀流で日本の初優勝に貢献した。

 プロでも二刀流に「今の思いは挑戦したい」と意欲を燃やす。目標はもちろん、大リーグで旋風を起こす大谷。「大谷さんと同じ日本代表でプレーしたい」と話す。

 夢を果たすため、プロの世界で「1年間戦い抜く体を作り、長く活躍できる選手になる」と先を見据える。「男前でかっこいい」と印象を語る三浦監督に存在感を示し、投打両面で活躍を誓った。

中日3位 辻本倫太郎内野手(仙台大)世界一の遊撃手目指す

 3位指名を受けた辻本は、目を真っ赤にして記者会見場に現れた。「(指名されて)まずほっとしている。(プロ野球は)小さい頃から夢として追いかけてきた」と喜びをかみしめた。

 北海道・北海高から仙台大に進んだ。勝負強い打撃と高い守備力に定評がある。168センチ、73キロとやや小柄ながら、全力で野球と向き合い、「世代ナンバー1遊撃手」と呼ばれるまでに成長した。

 今季は主将としてリーダーシップの高さも見せた。味方が劣勢であればあるほど最後まで白球を追いかけ、声を出し続けた。「球界一の遊撃手と言われるように努力したい。常に全力プレーを心がける」とプロでも心意気を貫くつもりだ。

 中日の印象を聞かれ「最近はなかなか勝てていない…」と苦笑いを浮かべた。抱負を聞かれ、色紙に記したのは「笑顔」。「おこがましいが、チームの雰囲気を変えられるようにやっていきたい」と力を込めた。

西武4位 成田晴風投手(青森・弘前工高)恵まれた体格直球強み

 成田は「こんなに早く指名されてびっくりした」。隣で見守った両親と握手を交わして喜びを分かち合い、「先発完投型を目指し、日本を背負える選手になりたい」と意気込んだ。

 185センチ、86キロの恵まれた体格から繰り出す最速150キロの直球が強み。スライダーやカーブなどの変化球も切れ味があり、「足腰を鍛えて、伸びのある球を投げられるようになりたい」と意欲的だ。

 西武には弘前市出身の外崎や青森県むつ市出身の黒田なども在籍。「地元が同じ選手と一緒にプレーできたら」と期待に胸を膨らませた。

ソフトバンク6位 大山凌投手(東日本国際大)6種類の変化球を操る

 6巡目で指名を受けた大山は「緊張して眠れない日もあった。ほっとしている」と頬を緩めた。

 最速154キロの直球と6種類の多彩な変化球を操る本格派右腕だ。3年春には南東北リーグで優秀選手と最多勝利投手、ベストナインに輝き、同年春の全日本大学野球選手権で15年ぶりの準決勝進出に貢献。プロへの意識が明確になった。

 4軍まであるソフトバンクの印象は「選手層が厚い常勝軍団」という。「自分の長所はフィールディングなども含めた総合力。早く1軍に上がり、長く勝ち続けたい」と飛躍を誓った。

オリックス7位 権田琉成投手(TDK)球速以上のスピード感

 オリックスに7位指名された権田は、最速152キロの直球が武器の即戦力右腕だ。球速以上のスピード感があるとスカウトから評価を受ける。

 180センチ、83キロ。2022年のU-23(23歳以下)ワールドカップでは守護神を務め、全9試合中7試合に登板。計7回1失点で5セーブを挙げ、最優秀選手(MVP)に選ばれた。

DeNA育成4位 庄司陽斗(青森大)変化球に落差

 「まずは支配下登録をしっかりと獲得することが目標。プロの世界に挑戦させてもらえることを本当にうれしく思う」。庄司は涙を浮かべながら、喜びを爆発させた。

 184センチの長身を生かした最速148キロの直球が武器の本格派左腕。宮城・聖和学園高出身で落差のあるチェンジアップを駆使し打者を翻弄(ほんろう)する。北東北大学野球秋季リーグでは5試合で4勝、防御率1・53を記録した。

 「自分の持ち味である強気のピッチングを磨き、将来は球界を代表するピッチャーになりたい」と闘志を燃やした。

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