28日に都内で一般公開が始まる国内最大の自動車展示会ジャパンモビリティショー(旧東京モーターショー)は自動車産業にとどまらない展示も見どころだ。ロボットや新エネルギーなど、モビリティー(可動性)や次世代技術がもたらす未来の可能性を伝えている。東北の企業や大学が開発に携わった技術や製品も紹介されている。
(報道部・三浦光晴)
東北で開発の製品も出展
トヨタ自動車はリンナイと共同開発した「水素石窯」を初公開した。脱炭素の有力エネルギー・水素を用いて調理する。水素ならではのスチーム効果でジューシーに仕上がったピザや野菜を振る舞っている。
トヨタは福島県で水素を活用したまちづくりなどを進めている。同社水素ファクトリーの山口洋行主任(38)=トヨタ自動車東日本から出向=は「車の技術を生かし、身近なエネルギーとしての可能性を広げる」と意気込む。
主催者プログラム「東京フューチャーツアー」では最先端のモビリティー技術を体験できる。
デンソーは水素を生成するブランコを設けた。水素電解装置を紹介するアトラクションで、「遊びながらエネルギーを生み出せる未来は楽しい」と担当者はアピールする。装置には東北大の技術を用いている。
山形大ソフト&ウェットマター工学研究室の古川英光教授らは3Dフードプリンターを展示。すり身や粉末の素材から、食感や栄養素など個々人に合う食事を作ることができる。理工学研究科2年一森湧さん(23)は「かむ力にも差がある。自分に合わせた食事は楽しさにつながる」と話す。
部品・機械器具の会場では、名取市に進出予定の照明機器製造・小糸製作所が最新技術を初公開。高精細なハイビームを照射できるヘッドランプや、方向指示器などと連動して路面を照らすランプなどを展示している。
27日は入場者を限定するプレビューデーで、一般公開は11月5日まで。期間中は各領域の先駆者によるトークイベント「ジャパンフューチャーセッション」もあり、人工たんぱく質素材のスパイバー(鶴岡市)、小型人工衛星の開発を手がけるエレベーションスペース(仙台市)といった東北の大学発スタートアップ企業のトップも登壇する。