仙台圏 新築マンション平均4629万円 23年上半期、建築費高騰し坪単価最高

 仙台圏で2023年上半期(1~6月)に市場へ供給された新築マンションの平均価格が前年同期比4万円増の4629万円となったことが、広告代理店のDGコミュニケーションズ仙台オフィスの調査で分かった。地価や建築費の高止まりが続き、平均坪単価は221万円と過去最高を更新した。コンパクト物件が増えて平均専有面積は縮小したため、平均価格は20年上半期の4778万円に次ぐ水準となった。

 供給戸数は187増の672戸で、上半期としてはリーマン・ショック翌年の09年以降で最も多かった。今後の供給予定物件を踏まえると、通年で1100~1200戸程度を見込む。09年以降の年間供給数は1000戸前後で推移する。

 石巻市や多賀城市などを含む仙台圏のエリア別供給状況は表の通り。青葉区の供給戸数は前年からわずかに減った。若林区は前年の大量供給の反動で減少し、太白区は長町エリアで新規供給が相次いだ。泉区は市地下鉄駅に近接した2物件が新規供給された。

 平均専有面積は4・17平方メートル減の68・98平方メートルと70平方メートルを割った。青葉区で単身者や高齢夫婦向けコンパクト物件の供給が増え、ファミリー向けも面積が縮小した。面積別は「55平方メートル未満」が2・8倍の87戸で、「65~70平方メートル」も104戸と7倍になった。

 平均価格は仙台市の全5区で4000万円を超えた。青葉区は590万円(10・9%)減とエリア別で唯一下落したが、コンパクト物件が増えた影響が大きく、平均坪単価は10万円(4・3%)増の256万円となり、2位の若林区を大きく引き離した。

 担当者は「供給が続いた都心部でコンパクト物件を中心に成約率が落ち、販売期間も長くなる傾向にある。堅調な郊外物件と明暗が分かれる結果になった」と説明した。

新築着工は4割減 需給バランスにずれか

 供給戸数が堅調に推移した2023年上半期(1~6月)の仙台圏の新築マンションだが、同期間の分譲マンション着工戸数は前年比4割減と振るわなかった。背景には建築費の高騰や需給バランスのずれが着工を遅らせている面がある。

 国土交通省によると、宮城県内の23年1~6月の新築着工戸数は425戸で、前年同期と比べ299戸減った。1~8月で比べると半減で、4月から4カ月連続で着工がなかった。

 ある大手デベロッパーは仙台市青葉区中心部に確保したマンション予定地に手を付けられずにいる。担当者は「建設会社と建築費が折り合わず、着工を見合わせている」と明かす。

 一般的にマンションは建設会社にとって利幅が小さい。「全国的に進む半導体や車載電池の工場建設は補助金も入り採算性が良い。建設や設備工事の会社にとって、マンションの優先順位は高くない」と嘆く。

 建設物価調査会(東京)によると、仙台市の9月のマンション(鉄筋コンクリート造)の工事原価指数(2015年=100)は118・9(速報値)。推移はグラフの通りで、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機により、3年間で2割近く値上がりした。

 仙台市の不動産調査会社シーカーズプランニングの佐々木篤代表は「地価は違っても建築にかかる費用は都心部も郊外も同じ。価格転嫁しづらい郊外ほど、仙台では年々事業化しにくくなっている」と話す。

 別のデベロッパーは都心部で供給が途切れなく続いてきたため「青葉区で需要がたまる機会がなかった」と需給のずれを指摘する。DGコミュニケーションズの調査でも、仙台圏で23年上半期に供給された物件の初月成約率は76・5%だったが、青葉区に限れば58・5%と落ち込んでいる。

 DG社の吉野敦東日本営業開発・サポート室マネージャーは「販売期間の長期化や建築費の高止まりで着工の後ずれは起こるだろうが、用地を探す動きはなお活発。新たに仙台に参入するデベロッパーもいて、今後も都心部を中心に着工や供給が続く」と予測する。

 その上で「単価が上がる中で、どこまで消費者を引き付け

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