朝からずらりと女性が並ぶのは、化粧品の無料サンプルがもらえる自動販売機。設置されているのは、商業施設「ルクア大阪」(大阪市北区)にあるコスメショップ「@cosme OSAKA(アットコスメ大阪)」だ。かつてない試みについて取材した。 【写真】自販機には初日驚くほど行列が… 9月1日の同店オープンとともに初めて設置された自動販売機(サンプルスタンド)には行列ができ、あっという間に配布が終了。「朝早く並ばなければ入手できないかも」「毎日もらって帰りたい」というSNSの声も。そこで、現在は行列を緩和させるために、時間指定の整理券を配布。それでも午後早めの時間にはなくなってしまうほど人気だ。 コスメになじみがなければ、無料のものに並ばなくても?と思うかもしれないが、このコスメの無料サンプル入手というのは大変なのだ。 化粧水や美容液などが自分の肌に合うかどうか判断するためにも重要なサンプル。1~2回分の量となるため節約にもひと役買う。たまたま店やイベントでサンプリングしているタイミングであれば気軽にもらえるが通常はそうはいかない。百貨店などであれば興味がある旨をスタッフに伝えて、接客してもらってから、ようやく入手できるかどうかだ。しかも、店員の対応によっては、何か買わないといけないかもと思う人も少なくないはずだ。 サンプルだけ、たくさんもらいにくる人がいるのではないか? お客に商品を直接アピールするチャンスが少なくなってしまう自動販売機…化粧品ブランドによってはマイナスでは? という疑問がわいてくることだろう。
実はメリットがあった、サンプル配布
今回の試みについて取締役副会長の菅原敬さんは、今回の仕組みについて「アットコスメのアプリをダウンロードして会員登録をされた方のみが1日1回、サンプルを得ることができます。ブランドさまからも大変好評で、新しいお客さまとの接点づくりとしても、今回の自販機に参加したいという声もたくさんちょうだいしております」と、設置前から期待値が高かったとのこと。 これまで店頭であっても、サンプルを渡すときは、相手が会員登録していなければ、どういった商品に興味を持ち、購入してきたのかというデータを取ることができなかったが、アットコスメの登録者に限定することで、どういった年代で、かつてどんな商品を購入した人が、そのサンプルに興味を持ったのかというレポートも個人情報保護法を遵守した上で今後可能となるのだ。アプリの会員数は非公表だが今回の自販機を導入に増加しているそう。 ちなみに、アットコスメのサイト上でのMAU(マンスリーアクティブユーザー、月ごとに頻繁にアクセスしている利用者)は1850万人だ。これは20~30代の女性の半数が利用していることになり、コスメ業界にとって決して見逃せない数字だ。 初日に並んでいたのは、「エスティ ローダー」「資生堂」「カネボウ」といった人気ブランドから、韓国の「ミシャ」「エストラ」、プチプラコスメとして人気の「キャンメイク」まで19ブランドが並び、その種類もクレンジング、美容液、日焼け止めなどさまざま。 実際に入手した大阪市の20代女性は、「気になっていたので並んで試しました。せっかくの機会なのでエスティ ローダーを選びました」と満足な様子。ただ、サンプルを得るだけではなく、しっかり買い物も楽しんでいた。 約2カ月を経て、現在のサンプル配布数は1日300個。当初は1人が気に入った同一サンプルばかりを求める傾向もあるのではないかという指摘もあったが、そのような重複はなく、いろいろなブランドを試すきっかけとなっていそうだ。「こちらの想定を大きく上回る反響をいただいております。ブランド数や種類は時期によって随時変更となりますが、こちらのサンプルスタンドは常設ですので、焦らずご来店いただければ幸いです」と、行列を避けたい人は、頃合いを見て試してみるのがおすすめだ。 「@cosme OSAKA」は西日本最大規模の約270坪で約500ブランド、約12000点を取り扱う。基本的には商品を試すことができるのが魅力となっており、ひと目で昨今の人気商品がわかるランキングコーナーも人気。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース)