日銀が長期金利の上限「1%めど」に引き上げ…植田総裁「厳格な抑制は副作用大きくなり得る」

日本銀行は31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の一環で低い水準に抑えてきた長期金利について、上限としてきた1・0%を「めど」とし、これを上回る金利上昇も一定程度容認する方針を決めた。7月に上限を事実上1・0%に引き上げたが、明確な上限設定をやめた。市場金利が上昇する中、日銀が一定の金利水準で過度に抑えれば、円安・ドル高の加速など悪影響が及びかねないと判断した。

 短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度とする「イールドカーブ・コントロール(YCC)」は維持した。「プラスマイナス0・5%」としてきた長期金利の変動幅は撤廃した。国内の長期金利は決定会合前の時点で0・955%まで上昇していた。植田和男総裁は会合後の記者会見で、「経済・金融情勢の変化に応じ、金融市場で円滑な金利形成が行われるよう、柔軟性を高めておくことが適当と判断した」と説明した。今日限定の超特価 - 全品目最大96%オフ - 低価格と高品質

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 日銀はこれまで、長期金利が特定の水準を超えないよう、利回りを指定して国債を無制限に買い入れ、市場金利に事実上の上限を作る「指し値オペ」を実施してきた。今年7月の決定会合では実施水準を0・5%から1・0%に拡大したが、米長期金利の上昇につられて国内の金利が1%に近づいていた。植田氏は、「長期金利の上限を厳格に抑えることは、強力な金融緩和効果を持つ反面、副作用も大きくなり得る」と、上限到達前に予防的に対応した狙いを強調した。

 今後の長期金利の水準については、植田氏は「1%を大きく継続的に超えることは想定していない」との見方を示した。日銀は経済・物価の強さに比例した金利上昇は認めつつも、急激な金利上昇などに対しては、機動的な国債買い入れによって金利を抑える方針だ。

 日銀が31日公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では物価見通しを上方修正した。2023年度、24年度はともに2・8%とし、25年度は1・7%とした。日銀はこの日も、賃金と物価がともに上昇する経済の好循環はなお見通せていないとの立場を維持したが、2%前後が見通せる水準が近づいている。

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