「パンチパーマ」生みの親が黄綬褒章…きっかけはビートルズ、技術普及に全国行脚

秋の褒章の受章者が発表され、大阪府内からは37人が選ばれた。農業や商工業などの業績を顕彰する「黄綬」が15人、科学技術や芸術文化などの分野で活躍した人に贈る「紫綬」が2人、公共の業務などに励んだ人への「藍綬」が20人だった。3日に発令される。

黄綬「カットハウス良の店」代表  泥谷ひじや 良一さん 76 大阪市住之江区

 ヘアアイロンを使って、細かいカールをつくる髪形「パンチパーマ」の技術を開発し、全国に広めた。

 1960〜70年代にビートルズが世界的な人気を得ると、国内でもメンバーと同じような長い髪が若い男性を中心に流行。こまめに散髪をする客が減り、業界に影響が出たという。「もっとパンチの利いた新しい髪形をつくれないだろうか」と考え、当時、男性にはあまり普及していなかったパーマに挑戦することにした。

SafeFrame Container
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 理美容用品の卸売会社「リビック」と協力し、ヘアアイロンや薬剤の開発から始め、器具の試作品は50本にも上った。1年以上かけて技術を確立。パンチパーマは、見た目の華やかさや手入れの簡単さから人気を集めた。髪の長さに応じて直径4〜12ミリほどのヘアアイロンを使い分け、手首をうまく返しながらリズムよくカールをつくっていくのがコツで、技術を教えるため、休みなく全国を飛び回った。

 人気の歌手やスポーツ選手らが好み、知名度が高まった。不良のイメージを持たれたこともあったが、「髪形の名前が広まるきっかけになって、ありがたかったよ」と意に介さない。「同じパンチパーマでも、顔つきや髪の長さによって印象が変わるのも魅力だね」

 時代が移り、パンチパーマを選ぶ人は減ったが、「手入れが簡単で清潔感もあるので、再ブームを起こしたいなあ」と意気込む。受章に、「業界の不況を救うために試行錯誤したことを評価してもらって、名誉に感じる。体力が続く限り、店に立ち続けたい」と語った。

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