東北でスタートアップ支援策続々 東北大は「25年後に1500社創出」が目標

 東北の産学官が地域経済の底上げを図ろうと、スタートアップ創出支援に相次いで取り組んでいる。政府の国際卓越研究大学の第1号候補に選ばれた東北大は「25年後に1500社」の目標を掲げた。首都圏や関西の産学官が育成で先行する中、人材や資金の確保に向けた域内の連携強化が鍵となる。

産学官の連携が鍵

 仙台市や東北経済連合会、東北大など産学官と金融機関でつくる「仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会」は24年度までの5年間で東北で「300社以上創出」の目標を設定。市によると、今年3月末時点で補助事業やセミナー開催など創出支援の実績は計264社となった。

 東北経済産業局と市は、高い成長性がある41社を、支援事業「J-スタートアップ東北」に選定。人工知能(AI)やロボット技術、独創的なサービスを手がける企業に対し、取引先の開拓支援などを行っている。

 東北大は世界最高レベルの研究力を目指す「国際卓越研究大学」認定の候補となり、現状で179社の同大発スタートアップを25年後に1500社とする目標を示した。24年度には青葉山新キャンパス(仙台市青葉区)に官民で整備中の次世代型放射光施設「ナノテラス」が本格稼働を予定。施設を活用した起業支援策も動きだす。

 経済産業省によると、22年度時点の大学発ベンチャーの都道府県別の企業数(本社所在地基準)は東京1352、大阪府271、京都236に対し、東北は宮城の112が最多。ほか5県は7~37にとどまる。

 東北大スタートアップ事業化センター企画推進部長の石倉慎也特任教授は「少子高齢化や人口減の問題に直面している東北では、新産業創出と人材の育成や定着、社会課題の解決に挑むスタートアップに地域社会の期待がかかる」と創出支援の意義を強調する。

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