クマ被害、忌避剤で防止 仙台の企業が普及に力、売り上げじわり

クマ

クマによる人的被害が全国で相次ぐ中、安全ツールの提案・販売を行う壱岐産業(仙台市)がクマ忌避剤の普及に力を入れている。木酢液に唐辛子の成分を配合した製品で、刺激臭でクマを遠ざける。効果には定評があり、クマ被害の続発を受け「今こそ広まってほしい」と望む。

青森の企業開発 刺激臭で遠ざける

 製品は木炭堆肥などを扱うエコ・ワーク(五所川原市)が製造する。商品名は「熊をぼる」。「ぼる」は追い払うという意味の青森地方の方言だ。

 成分は木酢液や激辛唐辛子から採取したカプサイシンなど自然由来。燻製(くんせい)に似た香りで人間は苦にしない程度だが、嗅覚が鋭く数キロ先の臭いをかぎつけるクマは嫌がる香りという。

 人里などに近寄らせないための設置用と、人が腰やリュックなどに下げる携帯用の2種がある。設置用は1リットルのペットボトルに液を300ミリリットル入れ、臭いが周囲に広がるように側面を切り裂いて使う。効果は2カ月~半年で、田畑やキャンプ場、ゴルフ場などで利用されている。携帯用は使い捨てカイロのような形状で効果は2~3カ月。価格は設置用が5500円、携行用が2530円。

 熊をぼるは2016年、青森県中泊町に当時あった企業が鳥獣による農作物被害を防ごうと、国や専門家の支援を受けて開発した。自治体などと連携した実地試験では高い忌避効果が認められたが、経営者が高齢を理由に引退。エコ・ワークが事業を引き継いだものの、普及は口コミレベルにとどまってきた。

 エコ・ワークの石岡広志代表(57)は「クマの被害に困ったリンゴ農家らに分ける程度でやってきた。知名度は低いが『クマが出なくなった』という声はたくさんもらっている」と自信を示す。

 壱岐産業は19年に取り扱いを開始。クマ被害増加に伴い、売り上げは徐々に伸びているという。里山保全に取り組む栗原市の山間部で熊をぼるを自ら使う長谷川嘉宏社長(62)は「周囲にクマの気配を感じないのは確かだ。用心の一つとして活用が広がれば、人がクマと出くわすのを少しでも減らせるのではないか」と話す。連絡先は壱岐産業022(233)1776。

岩手・北上では76歳男性がけが

 1日午前10時半ごろ、北上市村崎野の山林で、キノコ採りをしていた近くの無職男性(76)がクマに襲われ、腕などにけがをした。北上署によると、男性は背後から襲われ、右腕をかまれた。命に別条はないという。

秋田は80代女性

 1日午後6時40分ごろ、秋田市河辺高岡で、80代の女性がクマに背中をひっかかれ、けがをした。県警によると、女性は意識がある。自宅前で襲われ、悲鳴を聞いた家族が気付いて110番した。

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