個性を生かしながらも、常に「グループ」に軸足を置いてきた嵐に転換点が訪れた。活動休止となった2020年末までの21年間、1人も欠けず、メンバー内での序列もなかった彼らに起こった想定外の事態。
周りを囲む木々が少しずつ葉を落とし始め、空が秋らしく澄んだ東京・上野動物園。小さな女の子を肩車する二宮和也(40才)の傍らには、ぴったり寄り添うベビーカーを押す妻の姿があった。
「お目当てはジャイアントパンダだったようで、ニノはノーマスク。彼は今年の春からツイッター(現『X』)を始め、家族の存在を匂わせる投稿がチラホラありましたが、一家で堂々と外出するようになるとは……。心境の変化を感じましたね」(居合わせたファン)
10月25日、旧ジャニーズの公式サイト「ファミリークラブ」から二宮の個人ページが削除された。前日に同事務所からの独立を発表したばかりだった。
対照的なのが同じ嵐の松本潤(40才)だ。27日にFCサイトの動画で、主演するNHK大河ドラマ『どうする家康』の撮影風景を記録した初のソロ写真集を、12月に発売することを明かした。
「動画に登場した松潤は『松本潤のファンの皆さん、大野くん櫻井くん相葉くん二宮くんが好きなかたも、もしよかったら手に取ってください。買ってね!』とアピール。かなりハイテンションでした」(嵐のファン)
ジャニー喜多川氏の性加害問題でCM契約の更新見送りなどが相次ぐなか、二宮はFCサイトで《1回目の事務所の会見以降、自分の活動にも多くの影響が起き始め、正直な話、僕も怖くなった》と記し、独立を決断した胸中を明かした。
「二宮さんは嵐のメンバーに直接、独立することを伝えたようです。気になるのは11月末で事務所を離れる岡田准一さん(42才)と違い、二宮さんが『退所』という言葉を使っていないこと。嵐の活動は続けるようなので、グループとして事務所とエージェント契約を交わす意向なのかもしれません」(芸能関係者)
独立の2日後、Xに《朝起きて、まず仕事、問い合わせのメールを確認。今までにない動きで新鮮です》と心境を綴った二宮だが、独立発表前から異変はあったという。
「事務所の後輩3人と立ち上げたYouTubeチャンネル『ジャにのちゃんねる』の10月4日の動画では、二宮さんが『この4人で会社作った方がいいのか』と独立をほのめかす発言をしていました。事務所を離れてすぐに個人事務所の公式サイトを実姉と制作すると報告したことからも、彼の頭のなかにはずっと独立の二文字があったはずです」(前出・芸能関係者)
二宮の独立は嵐の今後にどう影響するのか。嵐と事務所との新たな契約については、10月2日放送の『news zero』(日本テレビ系)にて、櫻井翔(41才)が「事務所で、嵐のメンバー5人揃って説明を受けました」と明かした。しかし、全メンバーが招集されたこの話し合いでは、契約以外のことも議論されていたという。
「来年のデビュー25周年イヤーを迎える嵐の再始動計画を練り直そうとしたようです。しかしジャニー氏の問題が収束しないなかでの再始動は難しいという結論に達した。25周年というタイミングを逸したことで、グループ活動に対するメンバーのモチベーションが下がってしまったことは否めません」(前出・芸能関係者)
なかでも意見が食い違ったのが二宮と松本だという。
「そもそも2人の確執が噂されたのは、2019年11月に二宮さんが元フリーアナウンサーの女性と結婚したとき。20周年ツアー真っ最中のタイミングでの結婚発表に、松本さんが反発し、大野智さん(42才)とともに祝福コメントを出しませんでした。さらに二宮さんはコンサート中に自分の口からファンに説明することを望みましたが、構成や演出を仕切る松本さんがGOサインを出さなかったと聞きます」(前出・芸能関係者)
また、2021年6月、前述した『ジャにのちゃんねる』について、松本がブログで「YouTubeのオファー来なかったな。もう少し待ってたら来るかな?」などと綴ったのに対し、二宮がYouTubeで「松本さんにお支払いできるギャラがうちにはないんです」とやんわり“口撃”して話題になった。
しかし、同年11月、嵐のCDデビュー22周年記念日に行われたライブフィルムの舞台挨拶で、大野を除く4人が活動休止後初めて揃って公の場に登場。このとき、二宮と松本の立ち位置は隣同士で、フォトセッションでは2人が肩を組む姿が見られた。この光景にファンは安堵したが、一度生じた溝は完全には埋まっていなかったのか──。
「2人は大人ですから、表面上は仕事相手としてよい距離感をもって接しています。しかし、2児の父親となった二宮さんと、独身を貫く松本さんの“アイドルとして”の価値観は時を重ねるごとに隔たるばかりです」(前出・芸能関係者)
嵐の今後についても2人の方針はかけ離れていたようだ。
「嵐の再始動計画の道筋がはっきりと決まるまでは、いたずらに再始動の話題に触れないようにしたり、嵐がバラバラであることを印象付けることは避けて、いまはまだ嵐を壊したくなかった松本さんと、個人の活動も安定させたい二宮さんの意見の食い違いが大きく、全面的に激突状態だったと聞きました。
二宮さんは独立を発表した際、『僕は明日からも嵐です。再開するときはメンバーとして一緒にやっていく』と“嵐愛”を強調しましたが、現状で嵐の再始動は影も形もないと言わざるを得ず、松本さんは大きく落胆したはずです」(前出・芸能関係者)
「家族がいちばん。その次が仕事」
二宮を変えたのは、冒頭の動物園で仲睦まじい様子を隠さなかった家族の姿だ。嵐の活動休止後の2021年3月に長女、2022年11月に次女が誕生した二宮は現在、家族と過ごす時間を心から楽しんでいるようだ。
「現在の彼にとって最も重要なものは妻と2人の娘で、本人も『家族がいちばん。その次が仕事』とよく口にしている。人生の優先順位が変わり、家族との時間を大切にしたいからと仕事を選ぶようになった。昔ならあり得なかったけど、いまは家族でサイクリングに出かけることもあるみたいです」(二宮の知人)
2022年冬に公開された映画『ラーゲリより愛を込めて』に主演したことも、二宮を大きく変えたといわれる。
「二宮さんが演じたのは、第二次大戦後にシベリアに抑留された日本人兵士。自らの祖父を思い出して号泣しながら役作りに没頭した二宮さんは、撮影中に自分のルーツや先祖、子供たちの将来について深く考えるようになっていきました。そうした経験を生かして海外を拠点に本格的に役者をやってみたいとの夢もあるようです。いまの彼には嵐と同じくらい守るべきものができたということでしょうね」(前出・二宮の知人)
松本と二宮、どちらにも正義があり、守りたいものがあった。その決断は、グループにとって哀しい結末になるのか、それとも──。
※女性セブン2023年11月16日号