ぽん酢サワーの人気が拡大中
「Mizkan(ミツカン)」の調味料「ぽん酢」をつかった「ぽん酢サワー」が若者の間で話題になっています。 【画像】もう見た? キャッチコピーが秀逸なぽん酢サワーの「チラシ」4種 2023年8月、LASISA編集部のスタッフである筆者は、上野・アメ横のある大衆居酒屋で「ぽん酢サワー」に出合いました。 店外に行列ができるほど活気のある店の壁には、ぽん酢サワーの販促チラシが張られていました。 “味ぽんじゃないほうのぽん酢です” 薄緑色の文字で書かれたキャッチコピーに、いや応なしに興味を引かれ注文することに……。 天井に少し目線を上げれば、ひらがなの「ぽ」がプリントされた提灯(ちょうちん)が店内を一層にぎやかにしていました。 「ぽん酢ってそもそもなんだっけ?」 筆者はミツカンが販売する別の調味料「味ぽん」と「ぽん酢」の違いをこの時は明確に区別できていませんでした。 「はいよ、ぽん酢サワーです」 手渡されたぽん酢サワーは、筆者の想像とは別物でした。 サワーの色は、ごく薄い黄色。味はかんきつと酢のほのかな酸っぱさが爽やかな口当たりで、レモンサワーに近いと感じる人も多いかもしれません。個人的な感想ですが、揚げ物などおつまみの種類によっては、レモンサワーよりぽん酢サワーの方が合う気がします。 X(旧ツイッター)では、ぽん酢サワーを飲んだ人から「(ぽん酢サワーを作るために)初めてぽん酢買いました」「帰宅して追いぽん酢サワーした」「おいしくてぽん酢を使い切った」といった感想が寄せられています。また、ぽん酢サワーを提供する飲食店からは「女性のお客さんを中心に人気」「レモンサワー好きなら飲んでみてほしい」といった投稿も見られます。 さらに、ぽん酢の「ぽ」の字が入った通称“まる「ぽ」”のロゴが入ったグラスやTシャツ“ぽん酢グッズ”も若者の間で密かなブームになっており、10月には渋谷ロフト、渋谷ロフトでグッズが一部販売されました。 コロナ禍以前は、ほとんど見かけることすらなかった「ぽん酢サワー」。今、急ピッチで大衆酒場を中心に浸透しています。いち調味料だった「ミツカン」の「ぽん酢」がお酒の“割り材”としていつ頃から認知されているのでしょうか。「ミツカン」に話を聞いてみました。
ぽん酢サワー人気拡大中! その理由は?
Q.ぽん酢サワーとはなんでしょうか。改めて教えてください 担当者「『ぽん酢サワー』は、味ぽん“じゃない方”のぽん酢を使った、かんきつ果汁と醸造酢のさわやかな酸味が特徴のドリンクです ベースとしてお酒の種類や割り方、トッピングの決まりはありません。最近では焼酎にとどまらず、ジンやウォッカ、ウイスキーで割ったり、プレーンの缶チューハイに追加して飲まれている様子を、飲食店やお酒好きの方々のSNSでは数多く投稿されています。 Q.「味ぽんじゃないほうのぽん酢です」キャッチコピーにした理由を教えてください 担当者「もともとは、ご夫婦間のやりとりで『(味ぽんのことをイメージして)『ぽん酢』買ってきて、とお願いしたら、本物の『ぽん酢』を買ってきてしまった』というストーリーがSNSで紹介されており、反響があったことから採用しました。 また、ぽん酢は味ぽんよりも早く誕生しており、味ぽんとぽん酢の相乗効果があればいいなと思い、キャッチコピーにしました」 Q.「味ぽん」と「ぽん酢」の違いを教えてください 担当者「『ぽん酢』とは、鍋などに使うしょうゆの入った『味ぽん』とは異なり、かんきつ果汁とお酢だけで作った調味料のことを指します。酸っぱさがクセになる、料理に合う味わいが特長です。 ちなみに、発売年は、ぽん酢1960年、味ぽん1964年と、ぽん酢の方が先輩です」
買い間違いから生まれた!
Q.今話題の「ぽん酢サワー」はいつ頃登場したのでしょうか?どのような経緯で飲まれるようになったのでしょうか 担当者「ぽん酢サワーの始まりも勘違いエピソードから始まります。 とある居酒屋の店主が『味ぽん』と間違えて『ぽん酢』を発注してしまい、何かに使えないか考えてサワーにしたところ想像以上においしく店で提供することにした、というのが誕生のきっかけです。 買い間違いがきっかけで生まれた、まさに“奇跡のサワー”です。 当時の担当が、『ぽん酢サワー』というメニューがあることをウェブ検索でたまたま発見し、2020年11月から弊社でも提案をはじめました」 Q.「ぽん酢サワー」は家でも作ることができると思いますが、「ぽん酢サワー」の作り方を教えてください 担当者「公式サイトでは、ぽん酢:お酒:炭酸水を2:3:7で割ることをおすすめしています。お酒については、焼酎やジン、ウォッカ、ウイスキー等の蒸留酒がおすすめですので、いろいろ試してほしいです」
「ぽん酢」をもっと知ってほしい!
Q.「ぽん酢サワー」はなぜ若者にリーチできたのでしょうか。 担当者「ぽん酢サワーの魅力を伝えていくために、『提灯が光る下町の居酒屋で、みんながぽん酢サワーを楽しんでいる』というイメージのビジュアルで資料を作り、外食店で活用いただけるような、オリジナルグラスやポスター、ステッカーや提灯も作成しました。 特に“まる「ぽ」”のロゴマークは、ぽん酢サワーの提案を開始した2020年に、弊社社員が作成しました。下町酒場に愛されるドリンクとしてラインナップされる存在になりたいという思いの元、フォントやデザインの細部まで決め込みました。 レトロでノスタルジックな雰囲気がオリジナルグッズにより伝わりやすくなり、外食店でぽん酢サワーを飲んでいる人がぽん酢サワーの世界観に入りこめたり、SNS上で目を引いたりしたことも若年にリーチした要因の一つかと思います」 担当者は、「2020年11月に提案開始して以降、飲食店やSNSの口コミで『名前から想像できないおいしさ』『甘くなくて、さっぱりした味わいがクセになる』と評価され、ぽん酢サワーを提供いただいている店舗が1400店舗まで広がっています(2023年8月末時点)」とぽん酢サワーの人気ぶりを明かします。 また、人気が広まった理由に「意外性と懐かしさの相乗効果があったのでは?」と分析しています。 「“調味料を割材に使う”という意外性と、どこか懐かしく、甘くない すっきりとした味わいが受け、ぽん酢サワー導入店の常連さんを起点にじわりと人気を拡大しました。 社員が考えた、店側が自由に使用できる販促物のデザインは、注目されている昭和レトロな世界観をイメージしているので、若年層の方に刺さり、SNSでの拡がりもあるのだと考えられます」(担当者) また、販促PRについて「SNS」の活用が功を奏していると言います。 「販促PRは、公式SNSでの情報発信が主になります。動画を作成したり、ぽん酢サワーの作り方をHPで紹介もしています。また、店舗では、ミツカンの販促物やメニューを使用してもらっています。お客様が画像や内容を投稿してくれることで、どんどんSNSで認知度が拡大している状況です」(担当者) ぽん酢サワーの知名度アップに伴い、もちろんぽん酢の売れ行きも好調だという同社。 担当者は、「ぽん酢は砂糖不使用なので、ぽん酢サワーは糖質控えめなドリンクであるということも女性にとってもうれしいポイントではないでしょうか。この機会に是非、いろいろな人に『ぽん酢サワー』を味わっていただき、ぽん酢を多くの人に知っていただきたたいです」とアピールします。 調味料としてだけでなく「ドリンク」としてぽん酢を楽しんでみてはいかがでしょうか。
LASISA編集部