本音続出!街角景気にあふれる「国民の悲痛な叫び」それでも岸田政権の物価高対策は期待薄

デフレ完全脱却のための経済対策──岸田文雄首相は先週2日、総合経済対策の決定を受けた会見で力説した。物価高対策など5本柱を掲げ、「所得の伸びが物価上昇を上回る状況を確実につくる」とも話したが、“国民の本当の声”は届いているのだろうか。

◇ ◇ ◇

悲痛な訴えだ。

「3カ月前の6月1日から29日までの売り上げは2586万円であった。9月1日から29日までの売り上げは1814万円で、3カ月前の70.1%となる」

東京都のレストラン経営者は、そうコメントした。

“街角景気”として知られる景気ウオッチャー調査(内閣府、2023年9月調査)で、この経営者は景気の現状判断を「×」と回答。判断理由は「販売量の動き」で、その説明が冒頭の内容となっている。格安SIMのプラン料金比較

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「GDP(国内総生産)や消費者物価指数など経済指標はたくさんありますが、街角景気は数値だけでなく、国民の生の声であふれています。丹念に見ていくと、生活している人がいまの景気をどう判断しているかが、より深く理解できます」(株式評論家の倉多慎之助氏)

南関東でゴルフ場の経理担当をしている人は次のように回答している。

「新型コロナの感染により就業できない従業員が多く、元より要員不足のなかにさらに負担がかかる状況になっている。円安などの影響で価格が高騰する肥料薬剤の投下量も増え、水道光熱費の高騰も続いており、固定費の回収も容易ではない」

東京都の広告代理店経営者はこうコメントした。

「飲食店のスタッフ離れ、原油高騰に伴う価格変更による経営状態の悪化が激しい。直近で一番悪い」

■「直近で一番悪い」

街角景気の9月現状判断DIは49.9(50が良い、悪いの分かれ目)だった。調査結果について、「景気は緩やかな回復基調が続いているものの、一服感が見られる」としているが、感じ方はさまざま。「直近で一番悪い」もあるのだ。

帝国データバンクの景気動向調査(9月)でも景気DIは前月比0.5ポイント減の44.4と2カ月連続で低下した。

国民の苦しい現実は、街角景気からまだまだ伝わってくる。

景気判断は5段階に分かれる。良い(◎)、やや良い(〇)、どちらとも言えない(□)、やや悪い(▲)、悪い(×)だ。

▲と×の回答から、その声を拾ってみた。

シニアから10代、20代の若者まで利用するコンビニはどうか。

「朝、店に立ち寄る客が少し減っている。物価高による影響かと感じている」(南関東、経営者)

「明らかに客の購入点数が減少しており、購買力や購買意欲の低下がみられる」(四国、店長)

「おにぎりや弁当などの主食食品について、客が価格を気にしながら購入している。客単価も下がりつつある」(北海道、エリア担当)

■「ついで買いが激減している」

「ついで買いや衝動買いが激減している。たばこのついでにコーヒーも購入するとか、喉が渇いたからお茶を購入するというような動きが見られない」(東北、店長)格安SIMのプラン料金比較

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大手チェーンの広報担当者はこう言う。

「人手不足の影響は大きいですね。アジアを中心とした外国人のアルバイトはまだ戻っていません。ギリギリの人数で店舗を回さなければならず、店舗オーナーは苦労しています」

「夜は週末以外、客が来ない」

百貨店やスーパーの街角景気はどうか。

「駅の利用客は多いものの、来客数は減少している」(南関東、百貨店企画宣伝担当)

「必要なものしか買っていないように見受けられる」(南関東、スーパー店員)

「特売日やポイント販売促進強化日は好調であるが、平常時、他社への買い回りが進んでいる」(四国、スーパー財務担当)

家電量販店やレストランなどからの嘆きも相次ぐ。

「冷蔵庫が75%、洗濯機80%、テレビ60%と、主要品目がことごとく前年割れしている」(北関東、家電量販店店員)

「性能より価格重視な商品選びをする人が増え、客単価が下がってきている」(四国、家電量販店店員)

「ランチタイムは、やはり1人ずつの客が増えてきており、夜に関してはほぼ週末以外は客が来ないような状態になっている」(南関東、一般レストラン経営者)

「飲食店への客の流れは新型コロナの感染拡大初期に匹敵するくらい悪い」(東海、酒類小売店経営者)

「売り上げが過去10年で最低」

新型コロナが5類へ移行し、インバウンドも急増。土産物店など観光業のなかには、「個人予約は伸び悩んでいるが、企業研修やスポーツイベント、ツアーなどの団体予約は増加傾向」(北陸、都市型ホテル役員)とし、景気判断を「〇」とする回答もある。

だが一方で、政府が打ち出した経済対策では「絵に描いた餅」だと感じざるを得ない生の声がひっきりなしだ。

「海外旅行については、物価高、円安、燃油サーチャージ高騰の影響で旅行料金が大幅に上昇している。客は、コロナ禍前の価格水準をイメージしていることが多いため、見積もりを提出した時点で旅行を見送ることになる」(北海道、旅行代理店従業員)

「8月の新規求人数は、前年比33.2%減少、前月比11.6%減少となっている」(東北、職業安定所職員)

「何となく街に出てきて、世間話をして自分のストレスを解消しようという雰囲気の客がほとんどで、なかなか消費までには回らない」(北関東、衣料品専門店販売担当)

「5月から8月までの今期売り上げが、過去10年間で最低という衝撃の事実が判明した」(北関東、一般機械器具製造業の経営者)

「折り込みチラシが減少している」(東海、新聞販売店店主)

「中国の日本産水産物輸入禁止措置を受け、輸出売り上げが大幅に前年割れ」(北陸、食料品製造業の経営企画)

「物価の上昇が顕著となった前年以降、平均客単価が約50%に下がっている」(近畿、住関連専門店店長)

「インボイス制度への不安などから月末にもかかわらず夜の時間帯は暇である」(近畿、タクシー運転手)

「単価は変わらないが、来店周期が少し延びている」(近畿、美容室店員)

「9月は通常、来店客が増える業界だが、今年は例年より極端に来店客が少なかった」(中国、乗用車販売店店長)

物価高だけでなく、日中関係やインボイス制度、中古車販売ビッグモーター問題などによって生活が脅かされている。

生半可な経済対策は期待薄。さらなる節約などで生活防衛するしかない。

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