警察庁は2023年10月2日、「通学路における全国一斉取締りの実施結果について」と題した文書を公表しました。一体どの交通違反が多かったのでしょうか。
■警察庁が通学路での全国一斉取り締まりの結果を公表!
2023年9月に全国の通学路で交通違反の一斉取り締まりが実施されました。
一体どの交通違反が多かったのでしょうか。
警察庁は2023年10月2日、「通学路における全国一斉取締りの実施結果について」と題した文書を公表しました。
これは2023年9月29日の午前7時頃から午前9時頃と、午後3時頃から午後5時頃にかけて全国の通学路3778箇所で交通取り締まりをおこなった結果をまとめたものです。
自動車ユーザーの中には日頃から通勤や買い物などの際に通学路を利用する人がいるかもしれませんが、通学路では一体どの交通違反が多かったのでしょうか。
前述の文書によると、通学路での交通違反の検挙件数は合計1万3538件であり、その中で最も件数が多かったのは「通行禁止違反」の4923件(全体の36.4%)でした。
次いで「最高速度違反」の3767件(27.8%)、「指定場所一時不停止等違反」の1414件(10.4%)、「横断歩行者等妨害等違反」の878件(6.5%)、「座席ベルト装着義務違反」の736件(5.4%)と続きます。
その一方、すべての道路における年間の交通取り締まりでは、件数が多い順に「指定場所一時不停止等違反」(全体の23.9%)、「最高速度違反」(15.2%)。
「放置違反金納付命令件数(駐車違反)」(11.4%)、「通行禁止違反」(11.4%)、「信号無視」(8.5%)であり、やや異なる結果が出ています。
つまり、通学路特有の交通違反があるといえるでしょう。
まず通学路で最も件数の多い「通行禁止違反」は、「車両進入禁止」や「一方通行」などの道路標識で通行が禁止されている道路を通行する違反をいいます。
通学路では子どもを事故から守るため「午前7時から午前9時まで」というように朝の時間帯に限って通行を規制している場所が多いため、取り締まり件数が多くなったものとみられます。
■通学路の「最高速度違反」はなぜ起きる?
次に「最高速度違反」の検挙数が多いのは、通勤時間帯で急いでいるドライバーが多いことや、各警察で可搬式オービスを利用した取り締まりをおこなっている影響があると考えられます。
可搬式オービスは白い箱に三脚が付いたような形状の機械であり、固定式オービスと違って自由に持ち運べるため狭い生活道路や通学路でも使用できるのが特徴です。
警察では児童や学生の登下校時に、この可搬式オービスを通学路に設置して速度違反の取り締まりを強化しています。
また「指定場所一時不停止等違反」や「横断歩行者等妨害等違反」についても、通学路で取り締まりを受けやすい違反といえます。
なぜなら、通学路にはブロック塀で見通しが悪い交差点や信号機のない横断歩道などがあるケースも多く、子どもが交通事故に巻き込まれないよう取り締まる必要があるためです。
さらに通学路に限った話ではないものの、2023年にJAFがおこなった「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」では、一時停止率が全国平均45.1%と半分以上のクルマが止まらない実態も明らかになっています。
このような状況から、今後も横断歩行者妨害に対する厳しい取り締まりは続くものと予想されます。
通学路では児童や学生などが多く行き来することもあり、より一層の安全運転が求められる
そして「座席ベルト装着義務違反」に関しては、「いつも大通りに入ってからシートベルトをする」「自宅から出発したばかりだった」などの理由でシートベルトを装着しないドライバーが一定数いることが影響していると考えられます。
公道を走る以上は、交通量や場所に関係なく正しくシートベルトを装着しなければいけません。
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通学路では児童や学生などが多く行き来することもあり、歩行者との事故につながりやすい交通違反の取り締まりが重視される傾向にあります。
また、子どもによる道路の飛び出しなども想定されるため、通学路ではより慎重な運転が求められます。