神奈川県綾瀬市は市浄水管理センター(終末処理場)で、下水汚泥の処理過程で発生する消化ガス(バイオガス)を使った発電事業が来年4月から始まるのを前に、整備を進めていた関連施設を報道陣に公開した。発電事業は民設民営方式で、市は事業者にガスを売却する。市によると、下水汚泥を活用したバイオガス発電は、県内では横浜市に次いで2例目になる。
センターの汚水処理量は1日約2万立方メートルで年間約5千トンの脱水汚泥が発生する。焼却炉がないため、脱水汚泥を県外へ搬出しており、毎年の処分費は約1億2千万円になるという。過去、焼却炉を建設する計画もあったが、民設民営による発電事業を始めた場合、汚泥の処分費削減やガス売却による新たな収入源確保につながることから、施設を整備することを決めた。
センターの敷地内に、汚泥を発酵させてガスを作る高さ12・6メートルの消化タンクや、ガスを貯留するガスホルダなどを22億5290万円かけて整備した。発電設備は来年4月の稼働までに事業者が整備する。
今回の事業により、20年間で約5億円の経費を削減でき、年間約1100トンの温室効果ガスの削減が見込めるという。市の担当者は「将来にわたって下水道事業全体の安定的な運営につながる」と話している。(上嶋紀雄)