NHKが13日に発表した「第74回NHK紅白歌合戦」の出場者リストに、SMILE―UP.(旧ジャニーズ事務所)所属グループの名前はなかった。これまでは〝ジャニーズ枠〟として5~6組の出場が慣例だったが、故ジャニー喜多川元社長による性加害問題の影響を受けた。代わりに台頭してきたのが男性K-POPアイドルで、新たに2組が出場を決めた。
旧ジャニーズ勢の落選の理由について、番組を統括する大塚信広制作統括は「今年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出の3点から、総合的に判断した」とした上で、「NHKの全体方針に従った」と説明した。
NHKはこれまで「被害者の救済・補償と再発防止が着実に実施されるまでは、所属タレントと新規の番組契約は行わない」方針を示している。SMILE―UP.は今月8日に「迅速かつ適切な被害救済に全力を尽くして取り組む」として、「被害補償特設サイト」を公開したが、NHKは具体的な救済・補償にはまだ結びついていないと判断したとみられる。昭和54年以来、43年連続していた旧ジャニーズ勢の出場は、現時点でゼロという結果になった。
一方で、大塚制作統括は「(旧ジャニーズ勢への)新規の出演依頼が問題ないと確認された場合は適切に判断する」とも発言。「(出場者一覧に)名前のないアーティストについては、引き続き交渉していく可能性もある」と含みを持たせており、今後の追加出場の有無が注目される。
また、旧ジャニーズ勢の枠を埋めるように台頭してきたのが男性K-POPアイドルだ。今回は新たに白組から8人組グループ「Stray Kids(ストレイキッズ)」と13人組グループ「SEVENTEEN(セブンティーン)」の2組が出場を決めた。大塚制作統括は「2組とも日本でドームツアーを行うほどの人気があり、国内外で結果を残している」と評価している。
性加害問題を受けて、NHKは今回の紅白歌合戦にあたり、人権尊重のガイドラインを新たに作成。出場歌手を擁する各事務所が賛同した。大みそかの「国民的番組」は性加害問題の影を落としながら、焦点は今後発表される企画枠の出場者人選に移る。(三宅令)