宝塚歌劇団の宙組所属の25歳の女性が9月末にマンションから転落死した問題で、外部の弁護士による調査チームの調査報告書がまとまり、宝塚歌劇団は14日、宝塚市内で記者会見を開いた。
女性の遺族側の代理人弁護士は今月10日の会見で、1日に3時間程度しか睡眠時間が取れなかった過重労働、上級生からのパワハラが要因と指摘し、宝塚側に対応と補償を求めていた。だが、木場健之理事長は「報告書にはイジメやハラスメントは認められなかったと記載されている」と、上級生によるヘアアイロンを故意に押し付けられてやけどを負ったとされるイジメ、パワハラ、「ウソつき野郎」といった暴言などは確認できなかったと報告。木場理事長は辞任を表明したが遺族側の認識とは大きく異なり、女性を死に追いやった責任について、宝塚の厳しい上下関係や構造的問題についての言及や反省はなかった。
今回の件で宝塚が築いた“清く正しく美しく”のブランドイメージ失墜は間違いないが、「近年は受験者数の減少も課題でした」というのは宝塚事情に詳しい関係者だ。毎年40人の合格者数に対して1000人以上の受験者が未来のタカラジェンヌを目指していたが、2018年(106期)から1000人の大台を割り込み、21年は697人(17.4倍)、22年は692人(17.3倍)、23年は612人(15.3倍)と過去最低を更新。
「歌劇団内では受験生の減少についてコロナ禍やPR不足を理由にあげていましたが、卒業しても舞台で活躍できるのはほんの一握り。さらに過酷な上下関係やイジメまで発覚したのですから来年は更に応募者は減少するはずです」(前出の関係者)
“秘密の花園”の暗部と恥部がムキ出しになりつつあるが、退団後のOGの進路はさまざまで、キャリアを生かして芸能活動を継続する者もいれば、ダンス、ヨガなどの教室やスタジオを開く者、結婚して家庭に入る者、水商売に転じる者も。
「宝塚が最大のブランド力を発揮するのはお見合いの際の自己紹介書でしょう。関西地方の名士や資産家に嫁いだOGは数多い。また、これは余談ですが関西のヤクザ業界で最大の名誉は宝塚OGを愛人にすることだといわれています」(在阪ジャーナリスト)
根強いファンに支えられて今日がある宝塚歌劇団。宝塚の常識が世間の非常識ならば抜本的改革と出直しが必要だ。