高額な電位治療器具などを巧みなセールストークで契約させられた-。適格消費者団体の認定NPO法人「消費者市民ネットとうほく」(ネットとうほく、仙台市)に、宮城県内外の消費者から相談が寄せられている。団体は販売業者への差し止め請求も視野に、購入者や家族らに情報提供を呼びかけている。
(生活文化部・丸山磨美)
消費者団体が情報提供呼びかけ
電位治療器は体の周囲に電界を生じさせる医療機器で、法律上「頭痛、肩こり、不眠症および慢性便秘の緩解(軽減)」を効果・効能としてうたうことが認められている。
団体には全国の高齢者の家族らから情報が寄せられ「血圧や血糖値が下がる」「脳卒中や心臓病の予防になる」「糖尿病やがんが良くなった人もいる」などと法定外の効能を口頭で説明されたケースが多い。消費者契約法(不実告知)、景品表示法(優良誤認)に抵触する疑いがあるという。
団体によると、販売業者は東京に本社を置く医療機器開発・販売会社。全国のスーパーの敷地などに建てたプレハブの建物を無料体験の会場とし、商品を販売する。開設期間は数カ月程度で、宮城県沿岸部の自治体にも昨年、今年と開設された。家庭用電位治療器と併せて利用できる椅子で計数百万円になるという。
県内の70代女性は昨年5月ごろ、体験会場に毎日通い「国が認めた効能以外の病気も良くなった」などと説明を受け、200万円の商品を勧められた。スタッフは親切で、「皆が通わないと、ここから撤退する」とにおわせて来場を促していたという。家族が気付き、女性は通うのをやめた。
ネットとうほく理事の男沢拓弁護士(仙台弁護士会)は「無料で体験させ、優しい言葉で人間関係をつくる。その後に撤退をにおわせて商品を勧めるなど催眠商法やデート商法に近い」とみる。
会場で過剰なセールストークが行われている可能性があるが、密室で事実確認が難しい上、購入者自身が被害と気付かず、問題が表面化しにくいという。
国民生活センターなどにも同様の相談が寄せられており、団体は2018年と22年に販売業者に是正を申し入れた。しかし、その後も相談が相次ぎ、団体はホームページなどで注意を呼びかけている。再度の申し入れや消費者団体訴訟制度に基づく差し止め請求などを検討する。
販売業者の担当者は「認められた効能だけを話すよう教育を徹底している。団体側にも伝えている」と述べた。
ネットとうほくへの相談・情報提供はメールなどで受け付ける。詳細は団体ホームページで。連絡先は022(727)9123、メールアドレスはshiminnet-tohoku@triton.ocn.ne.jp