青森県は20日、県内に立地する原子力事業者に課す核燃料物質等取扱税(核燃税)について、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)などに対する適用税率を2024年度から5年間引き上げる方針を明らかにした。5年間の税収は約280億円増えて過去最大の計約1255億円となる見通し。22日開会の県議会11月定例会に条例改正案を提出する。
核のごみが対象で24年度から5年間
核燃税は使途が限定されない法定外普通税。県は1991年に創設して以来2~5年の更新を繰り返し、今回で7回目の改正となる。県によると、5年間の税収見込みが1000億円を超すのは初めて。事業者側の内諾は得られたという。
条例案によると、日本原燃の核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)で一時貯蔵している高レベル放射性廃棄物の税率を現行の1・84倍に引き上げる。高レベル放射性廃液を固めたガラス固化体に1本当たり297万1300円を課す。低レベル放射性廃棄物も同様に1・84倍に引き上げ、1立方メートル当たり9万6500円とした。
日本原燃のウラン濃縮工場(六ケ所村)、運転停止中の東北電力東通原発(青森県東通村)の課税額は据え置いた。核燃料サイクル施設に貯蔵している使用済み燃料は、1キロ当たり8300円の特例税率を維持する。
東京電力と日本原子力発電が出資し、24年上期の操業開始を目指すむつ市のリサイクル燃料貯蔵(RFS)の使用済み核燃料中間貯蔵施設への課税は見送った。
現行の条例下では5年間で計約976億円の税収を見込む。本年度の税収は196億1400万円に上る見通しで、一般会計当初予算の歳入の13・3%に相当する。
宮下宗一郎知事は「低所得や社会インフラの不足といった本県の課題を本質的に変えるための財源だ。新たな税財源を確保し、新たな時代にふさわしい行政を展開したい」と述べた。