創業100年超の老舗企業の割合、山形が全国2位! 江戸時代に商業発展、災害や戦災の少なさも要因か

山形県内の企業のうち、創業100年を超える老舗が占める割合が全国で2番目に高いことが、帝国データバンク山形支店の調査で分かった。データを分析している2000年以降で初めて5%台まで上昇した。江戸期に商業が発展し、災害や戦災が少なかった土地柄が反映したとみられる。

帝国データ山形支店調査 5・18%はトップ京都に肉薄

 調査によると、今年9月時点での山形県内の100年超の老舗は907社。老舗の割合を示す「老舗出現率」は5・18%で、全国平均の2・65%を大きく上回った。5%台は山形と1位の京都(5・26%)のみ。東北では秋田、岩手、福島が3%台、宮城、青森が2%台だった。

 業種別では小売りが266社と最多で、製造216社、旅館などのサービス135社といった順。最古は、鎌倉時代初期の1189年創業で834年を迎えた伊藤鉄工(山形県鶴岡市)で、現在は圧力容器・流量計などを製造する。旅館業の桝形屋(山形県米沢市)の490年、呉服・服地小売りのとみひろ(山形市)の445年などが続く。

 全国的には3位新潟(4・94%)、4位福井(4・64%)など日本海側で上位が目立つ。担当者は「江戸中期から明治時代にかけて海運の要だった北前船の寄港地が多く、古くから商業の拠点となっていた」と分析。山形が高い理由を「米や豆などを貯蔵した蔵の有効活用として商業が発展し、災害や戦災が少なかったことで企業活動の断絶を免れたのでは」とみる。

 後継者難や新型コロナウイルス禍による業績悪化など、一般企業と同様に老舗を取り巻く環境も厳しさを増す。今年に入り、山形県内では大正期創業の温泉旅館の事業停止などがあった。担当者は「時代の変化への対応や有能な後継者の育成が事業継続の必須要素となる」と語った。

タイトルとURLをコピーしました