利用少ないローカル線、62区間全て赤字 JR東が22年度の収支公表<鉄路の足元>

JR東日本は21日、利用者が少ないローカル線の2022年度分の区間別収支を公表した。今回開示対象となった34路線62区間は全て赤字で、総赤字額は21年度より約2億円減の約648億円だった。新型コロナウイルス禍は和らいだものの、運輸収入の大幅な改善は見られず、赤字経営が続いている。

運輸収入、改善は限定的

 東北関係の21路線(40区間)を含む34路線の運輸収入は約5億円増の約41億円で、運行にかかった費用は約4億円減の約690億円だった。開示対象は、新型コロナの影響が少ない19年度の1日1キロ当たりの利用者を示す平均通過人員(輸送密度)が2000人未満の区間。営業距離は2083キロで、管内全体の34%を占める。

 最大の赤字区間は羽越線村上(新潟県村上市)-鶴岡(山形県鶴岡市)間の49億4600万円で、初めて収支を公表した19年度分から4年連続でワーストとなった。赤字幅は21年度比5200万円縮小した。

 次いで赤字額が大きかったのは奥羽線東能代(秋田県能代市)-大館(秋田県大館市)間が1億9100万円増の32億9600万円、羽越線酒田(山形県酒田市)-羽後本荘(秋田県由利本荘市)間が1億6300万円増の29億4100万円だった。

 100円の収入を得るために必要な費用「営業係数」は、久留里線久留里-上総亀山(ともに千葉県君津市)間の1万6821円が最も大きかった。22年度の輸送密度が44人と最少だった陸羽東線鳴子温泉(宮城県大崎市)-最上(山形県最上町)間が1万5184円と続いた。同区間は21年度より4847円改善し、2年連続だったワーストを脱した。

 1万円以上を要したのは5区間。他の東北関係区間は磐越西線野沢(福島県西会津町)-津川(新潟県阿賀町)間が2024円増の1万3980円、花輪線荒屋新町(岩手県八幡平市)-鹿角花輪(秋田県鹿角市)間が1720円減の1万751円だった。

 区間別収支の公表は21年に始まり、19、20、21年度分を開示した。災害で運休が続く区間は対象から除外され、今回は津軽線中小国-三厩(ともに青森県外ケ浜町)など3路線4区間が新たに外れた。

 JR東の担当者は「具体の経営状況を地域と共有し、最適な交通体系を議論するための情報として提供していく」と説明した。

22年度版ローカル線収支
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