横浜最大の歓楽街・伊勢佐木町に隣接する若葉町(横浜市中区)と周辺で、売春などの目的で路上で男性客をとる「街娼(がいしょう)」のうち、「男娼(だんしょう)」として金を稼ごうと来日する外国人男性の検挙が増えている。新型コロナウイルスの水際対策の緩和で、来日しやすくなったことが影響したとみられる。住民の声を受け、神奈川県警が取り締まりを強化している。
JR関内駅から徒歩十数分、マンションやビルが立つ若葉町とその周辺。深夜、雰囲気が少し変わる。
コインパーキングやビルの脇にタイトなスカートの長身の姿。道行く男性が近づき、目が合うとほほえみかける。片言の日本語で「こんばんは。遊びはいい?」。男性と街に消える人も少なくない。
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「町の雰囲気が悪く、夜、住民は歩きたがらない」。約1千人の住民が暮らす若葉町町内会の会長、芦原将(すすむ)さん(83)は話す。今年6月ごろから、深夜に路上に立つ外国人が増えた、と驚いている。
町内会と県警は街頭に防犯カメラをつけたほか、情報交換する若葉町地区防犯対策協議会を8月に設置。月に1度、パトロールもしている。
■多くはタイ人男性か
「夜、外国人が客引きしている」。住民の苦情を受け、県警は取り締まりを強める。捜査員が男性客を装い、5~9月に若葉町と周辺で、タイ、フィリピン、ペルー国籍の27~53歳の男5人を県迷惑行為防止条例違反(客待ち、客引き)容疑で逮捕した。うち4人は観光ビザで入国し、近くのマンションやホテルに泊まり、深夜、路上に立っていた。すでに帰国したとみられる。
県警によると、男娼の検挙は2019年は2人、コロナ禍の20~22年はゼロだった。昨秋の水際対策の緩和で訪日しやすくなったとみられる。
9月には捜査員57人で路上にいた17人を伊勢佐木署や待機車両に呼び、パスポートを確認した。タイ人男性が13人とほとんどを占め、残りはタイ人女性2人、中国人、日本人女性が各1人だった。「ただ立っているだけ」と話した人もいたが、県警は17人に疑わしい行為をしないように注意した。