コンビニに毎日クレームを入れに来る“迷惑老人”。後ろに並んでいた「3人組のギャル」が外に連れ出した結果…

毎日のようにニュースで目にするのが、「キレる老人」が巻き起こすトラブルです。加齢とともにタガが外れてしまうのか、さまざまな場所で暴走し、常識では考えられないような迷惑行為に手を染めてしまっています。とはいえ、注意でもしようものなら、自分の身に危険が及ぶ可能性があるわけで、仕方なく手をこまねいている人は少なくないはず……。
神奈川県でコンビニエンスストアを経営している、早乙女大悟さん(仮名・29歳)は、祖父の代から続いていた商店を父親が改装。父とともに経営者として切り盛りし、地域でも古くから愛されているお店となっています。商売がら面倒なお客さんに対面することもありますが、大抵の場合は話せばわかってもらえます。しかし、時にはまったく話が通じない人によって手を煩わされることもあるそうで……。その時の出来事を、苦々しい表情で早乙女さんは明かしてくれました。

◆後期高齢者の客が毎日訪れるように

「近くにスーパーがないので生鮮商品を売るなど、地域に密着したコンビニとして運営しています。住宅地にあり、近くに高校もあるので自分で言うのはなんですが、繁盛店として愛されています。常連のお客さんも多くて、地域の人が安らげる場所になるように心がけています」

今年の夏頃から、後期高齢者のお客さんが毎日のように来店するようになったといいます。

「はじめは普通に買い物していくだけだったんですが、いつの間にかお店のことに文句を言うようになっていきました。キッカケはトイレが汚かったというクレーム。バイトも雇っていますが、我々も家族経営で余裕がない。トイレはあくまでサービスとして提供しているものなので、汚いと言われても……と思ったんです。とはいえ、お客さんなので謝罪してその場は収めました。そこから、何かに付けてクレームを付けるようになってしまったんです」

◆「他店のPB商品がほしい」と難癖を…

どうやら、自分が汚れたトイレを指摘し店員が謝罪したのがうれしかったのか、その老人は些細なことでもクレームを付けるようになったそうです。

「自分がほしかった商品がないとクレームを付けてきた時は、他社のPB(プライベートブランド)だったので困りました(笑)。『その店ではない』と説明しても理解できないようで、対応した大学生のバイトさんも呆れていました。店長を呼べと言われたというので、他の場所で作業していた自分がかけつけて説明したのですが、その後も数十分にわたって持論を展開。クレーム対応には慣れているのですが、あまりに埒が明かないやり取りにへとへとになってしまいましたよ」

◆ついに実害が出てきてしまった

若い世代よりも、「お客様は神様」だという思い込みが強い傾向にあるシニア層。とにかく扱いに苦慮したそうです。

「店員が殴られたとか、物を破壊されたなどあれば警察を呼ぶことができるのですが、口頭でのクレーマーなので対応に困りました。それにシニアということもあって、警察を呼ぶとうちが悪いことしているみたいで、他のお客さんにも影響がありますからね……」

さらに、この老人は、決まって夕方の一番忙しい時に来店してきてスタッフたちを困らせたそうです。

「決まってレジで会計する時にクレームを入れてくるので、お客さんの列も長くなってしまう。嫌気が差して何も買わないで帰っていくお客さんもいるなど実害がではじめた。嫌がらせのつもりなのか、僕が店外に連れ出して話を聞こうとしても、レジの前から動こうとしないんですよ。お客様の身体を触ったりしたら、逆にこちらが警察を呼ばれるので何も出来ず、バイトの子たちも困り果てていました」◆後ろに並んでいた「3人組のギャル」が救世主に

よほど暇なのか、土日関係なく毎日訪れていたんだとか。撃退してくれたのは、意外にも警察ではなく若いお客さんだったとか。

「その日も夕方にふらっと店に来て、良い品がないと大声でクレームを入れはじめ……。そんな時に、3人組で来店してくれたギャルのお客さんが後ろに並んでいたのですが、ブチ切れて老人を取り囲んでキレ始めたんです。レジを待たされ、後ろで理不尽なクレームを聞いていてよほど腹が立っていたのか、ギャル3人は老人を外に連れ出して、総攻撃で説教を始めました」

異様な光景に、他のお客さんが通報したのか警察もかけつけて、事態を収集することになったそうです。

「自分も責任者として聴取を受けたのですが、ギャルたちは悪くなく、老人客が毎日来て嫌がらせをしている現状を話しました。警察の方もよく利用してくれている人で理解したようで、喧嘩両成敗でギャルたちは帰宅させ、老人については家族を呼ぶように要請。40半ばくらいの女性が10分ほどで店に来て、警察から事情説明と注意を受けていました。その女性は娘だったようで、我々にも平謝り。今後は、お店に来ないようにさせた上で、何かあったらすぐに連絡して欲しいと携帯番号を置いていきました」

◆“クレーマー老人”の正体は…

その娘の話によれば、妻が亡くなって1人になったその老人を、前年辺りから引き取って一緒に暮らしているとのことでした。ただ、娘も旦那も仕事に日中は出ているので、野放し状態になっていたそうです。早乙女さんは、今後は暴走する老人の被害も多くなるだろうと話してくれました。

「田舎町は高齢者が増え、こういったトラブルも増えるのだろうなと痛感しました。警察の方も、暴言や理不尽なクレームでも営業妨害に当たるので、すぐに通報してくださいと教えてくれました。でも、毎回、警察沙汰にしているのではお店としては成り立たないのも現実です。そのシニア客は娘さんが言った通りに来なくなりましたが、また同じような事が起きないかと、心配はつきません……」

超高齢化社会の到来で、同様のトラブルはさまざまな業界で起こり得る話。我々も、暴走老人とトラブルになった際に、どうするべきかをしっかりと確認しておいたほうが良さそうだ。

<TEXT/高橋マナブ>

―[キレる老人の恐怖]―【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている

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