宮城県気仙沼市が人口減少問題に取り組む一環で実施した市民アンケートの結果がまとまった。結婚する上で何が障害になるかを尋ねたところ、半数以上が「収入」と回答。出産や育児についても約8割が「経済的負担が大きい」と答え、結婚への経済的な不安が人口減の一因となっている実態が浮き彫りになった。
市は本年度、市民100人規模で人口減少の現状や緩和策を考える「けせんぬま未来人口会議」を設置。現状把握のためさまざまなテーマで7~9月にアンケートを行った。このうち結婚・出産・子育てについては無作為に抽出した18~49歳の2000人に尋ねた。回答率は24・6%。
「結婚するとすれば、障害になることはあるか」という設問では、7割以上が「ある」と答えた。複数回答可で内容を尋ねたところ、「収入」とする回答が52・3%と最も多く、続いて「結婚資金」(37・1%)、「親や家族の介護」(35・1%)が挙がった。
「出産、育児に際しての不安や苦労はあるか(あったか)」という設問では、「経済的負担が大きい」とする回答が78・3%と最多。「精神的負担が大きい」(65・8%)、「体力的負担が大きい」(62・8%)と続いた。
妊娠や出産をきっかけに仕事を辞めた人に理由を尋ねると、「雇用環境から働き続けるのが難しかった」とする回答が52・6%と半数以上を占めた。
市の人口は2010~20年の10年間で16・8%減少し、県内14市で最大の減り幅。25~29歳の女性のUターン率が低く、男性の生涯未婚率は20年に3割を超えている。
アンケート結果について菅原千枝子人口減少対策統括官(54)は「気仙沼圏の給与水準は仙台圏より3万円ほど安いといわれる。子育て支援や働き方改革を含め、官民協働で雇用環境改善に努めたい」と語る。
未来人口会議は「子育てファースト」「女性の活躍」など四つの分科会で議論。市はこれを反映させ、年度内に「(仮称)けせんぬま未来アクションプラン」を策定するほか、ふるさと納税を積み立てた「市ふるさと応援基金」を活用して具体的施策を講じる方針だ。