第69回松島芭蕉祭と全国俳句大会(実行委員会主催)が12日、松島町の瑞巌寺と町文化観光交流館でそれぞれ開かれた。町内外の俳句愛好者らが「おくのほそ道」の旅で松島を訪れた江戸期の俳聖松尾芭蕉をしのびつつ、自作の句をささげるなどした。
芭蕉祭は瑞巌寺本堂であり、桜井公一町長や実行委員長の渡辺誠一郎さん、県俳句協会長の高野ムツオさんら約10人が吉田道彦(どうげん)住職らの読経に続き焼香。実行委員が参列者らによる約15句を詠み上げ、献句した。
俳句大会には約130人が参加。事前応募の1818句と、当日に目に触れた物事を即興的に詠む「嘱目吟」で受け付けた117句から優秀作が選ばれた。選者には地元の渡辺さん、高野さんら5人に加え、俳人の小林貴子さん、高山れおなさんが招かれた。
嘱目吟の特選第1席に、小林さんは仙台市宮城野区の篠沢亜月さん(62)の「入(い)る風に背筋を正す翁(おきな)の忌(き)」を、高山さんは亘理町の坂下遊馬さん(69)の「百畳をわたる読経や冬の蠅(はえ)」をそれぞれ選んだ。2人とも芭蕉祭に参列した際の情景などを詠んだという。
芭蕉祭と全国俳句大会は1955年に始まった。実行委は町、県文化振興財団、県俳句協会で構成し、芭蕉の命日(新暦11月28日)に合わせて毎年11月に開催している。