宮城県内で冬眠遅れるクマ増加か 11月の目撃件数昨年の30倍、餌確保できず人里に下りるケース懸念

クマ

宮城県は30日、同日までを期限としていた、県内全域が対象の「クマ出没警報」を12月31日まで延長すると発表した。例年ならばクマが冬眠に入り始める時期だが、11月の目撃件数が前年同期の30倍近くに達し、今後も警戒が必要と判断した。

餌不足で凶暴化も 出没警報年末まで延長

 昨年度は8件だった11月のツキノワグマの目撃件数は27日時点で223件。過去5年の平均(61件)を大きく上回り、県が集計を始めた2005年以降で最多だった176件(2016、20年)も更新した。

 東北森林管理局(秋田市)によると、今年は餌の一つであるブナ類の結実が「大凶作」となった。空腹で凶暴化し、活動範囲を広げるクマも現れそうだ。

 17日には色麻町で本年度県内3件目となる人身被害が発生。クマと遭遇した70代男性が逃げる際に顔や腕などにけがをした。

 県自然保護課の担当者は「例年に比べて冷え込みが弱く、冬眠に入るのが遅いクマもいる。十分に餌を確保できずに、今後も人里に下りてくる可能性はある」と指摘する。

 県は、(1)朝夕の行動を避ける(2)鈴やラジオなど音の出るものを鳴らす(3)複数人で行動する-といった対策や、庭先の果樹の収穫や生ごみの管理などを呼びかけている。

 県は同日、冬季(12月~翌3月)の「クマ出没シーズン予報」も発表。クマの餌となるクリやドングリなどの堅果類の豊凶調査が「凶作」となったことを受け、「平年よりも出没が多い見込み」と予測した。

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