福島6町村 復興拠点の避難解除完了 富岡で墓参の往来が自由に

東京電力福島第1原発事故に伴う福島県富岡町の帰還困難区域(小良ケ浜、深谷両地区)のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)にある墓地や集会所、幹線道路などの避難指示が30日、解除された。県内6町村に設定された復興拠点の避難解除がこれで完了。墓地などに自由に行き来できるようになった一方、居住地は含まれておらず住民帰還は伴わない。町は今後、解除範囲の拡大に取り組む。

 午前9時、両地区に入るゲートが開放され、パトカーなどが拠点内を巡回した。山本育男町長は報道陣の取材に「両地区の避難解除に向けた大きな一歩だ」と語った。

 深谷地区に自宅が残り、現在は町中心部で暮らす関根厚さん(74)は解除後、拠点内を見て回り「ようやく一歩進んだ。時間を気にせず、墓参りができる」としみじみ語った。早期の避難解除とコメ作りの再開が今の願いという。

 今回解除されたのは、共同墓地や集会所など6カ所と周辺の県道や町道など約7・2キロ。今年4月に避難解除され、11月1日現在で64世帯94人が暮らす夜の森地区を中心とした復興拠点(約3・9平方キロ)の生活に欠かせないとされる「点・線」拠点とされていた。

 政府は、復興拠点外の帰還困難区域でも希望者全員が2020年代に帰還できるよう、特定帰還居住区域を設けて除染し、避難解除する方針。町は、除染範囲を定める復興再生計画を年度内に政府へ提出する予定だ。

 いわき市に避難する加藤マチ子さん(72)は「帰還意向などの条件を付けずに全域を除染するのが当初の約束だったはずだ」と強調する。自宅がある深谷地区の現在の様子を確かめようと近く、今回の拠点を訪れるという。

 避難指示が続く帰還困難区域は町域の6・7%に当たる4・6平方キロ。政府が実施した8月末の意向調査結果によると、両地区240世帯のうち88世帯が「帰還希望あり」と回答した。

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