仙台市地下鉄東西線は6日、2015年12月の開業から丸8年を迎えた。8年目(22年12月~23年11月)の利用者数は1日平均6万2600人で、最も多かった新型コロナウイルス流行前の4年目(18年12月~19年11月)の6万2800人と同水準まで回復した。5類移行後に人の動きが活発になったためとみられるが、開業時に予測した1日平均8万人の需要は今なお達成できていない。
通勤、通学の利用客が順調に回復
1日平均利用者数の年間推移はグラフの通り。コロナの影響で大幅に落ち込んだ5年目(19年12月~20年11月)以降、増加に転じ、8年目は4年ぶりに6万人台に戻った。6月には月別の1日平均が最多の7万200人に達した。
平日の1日平均は7万1500人で、4年目の7万1800人に迫った。通勤、通学の利用客が順調に回復し、全体を押し上げた。
1日の乗降客が最も多かったのは、沿線に点在する東北大のオープンキャンパス初日となった7月26日の9万9200人。翌27日も9万9100人が利用した。3番目は、国際センター、大町西公園両駅(ともに青葉区)周辺であった仙台七夕花火祭開催日の8月5日の8万7800人だった。
駅別に見ると、13駅全てで7年目を上回った。1日平均の最多は仙台駅(青葉区)の2万200人。国際センター駅は5月が前年比8割増の4100人、6月は4割増の3600人となった。4~6月に青葉山追廻地区を主会場に開かれた全国都市緑化仙台フェアの来場者が大勢詰めかけた。
沿線では、24年度に本格稼働する次世代型放射光施設「ナノテラス」などの施設整備の動きがみられる。大友延裕営業課長は「伸び代はある。さらなる利用の促進を呼びかけていく」と説明する。
沿線の活発な宅地開発が背景か 南北線は回復せず
仙台市地下鉄東西線の利用者数が新型コロナウイルス感染拡大前とほぼ同じ水準となったのに対し、南北線は戻り切っていない。東西線沿線で宅地開発が活発な一方、南北線沿線は高齢者が比較的多い成熟した住宅地が広がっていることが背景にあるとみられる。コロナ下で根付いた生活スタイルの変化も影を落とす。
コロナ前の2019年6月と比較した今年6月の両路線の利用者数の増減は表の通り。東西線は深夜を除き、平日はほぼ変わらず、土曜・休日は日中を中心に上回る。対照的に、南北線は全時間帯で19年に届かず、通勤や通学の利用客で混雑する平日の朝、帰宅時の夕方も落ち込む。
東西線の卸町、荒井各駅(ともに若林区)周辺でマンションや住宅の建設が進む。市交通局の担当者は「沿線人口の増加が利用者数に結び付き、南北線との違いとして現れているのではないか」と分析する。
感染対策で通勤通学時の自転車利用、家庭で酒を楽しむ「宅飲み」も浸透している。担当者は「新しい暮らしの仕方が定着し、東西線以上に南北線への影響が大きい」との見方を示す。