福島県西郷村真船の私有地に大量の土砂が積み上げられてできた「土砂の山」が出現し、住民が崩落を懸念している問題で、村の別の場所と同県矢祭、小野両町の山林計3カ所でも大量の土砂が搬入され、県に規制を求めていることが5日分かった。現場はいずれも関東地方に近い県南部にある。
西郷村によると、別の搬入現場は私有地から約1・3キロ東の真船地区内にあり、国道289号沿いの山林内の土地約4300平方メートルに盛り土が造成されている。
昨年9月から関東のナンバーのダンプが目撃されるようになり、住民が村に相談。直後に県が立ち入り調査した際、茨城県つくば市の業者は「自社で排出した土砂」と説明したという。
茨城県境に接する矢祭町山下の山林でも今年7月以降、西郷村のケースと同じつくば市の業者が土砂の搬入を開始。現場は県道沿いで面積は約5600平方メートル。近くに住宅はないが、町は有害物質の有無を調べるため県に調査を依頼した。
小野町では県外の業者が森林伐採後に植林する計画を示し、元々のくぼ地を埋めるためとして土砂を運び込んでいるという。
福島県内の自治体に盛り土を規制する条例はなく、なし崩し的に残土処分地となることを恐れる声が上がる。11月30日に福島市であった県町村会と内堀雅雄知事との意見交換会では、複数の首長が県に規制条例の制定を求めた。
内堀知事は4日の定例記者会見で「関係機関が監視を継続するとともに土砂の搬入者には報告を求めており、土砂に有害物質の混入などがあれば撤去を指導する。確認されなかった場合でも、土地の利用状況を把握した上で必要な対応を早急に検討したい」と述べた。