仙台・荒浜の集団移転跡地に観光果樹園や市民農園整備へ 最後の4区画に2社決定

仙台市が東日本大震災で被災した沿岸東部地区で進める防災集団移転跡地の利活用事業で、若林区荒浜地区4区画の事業候補者が決まった。市は5日、JR東日本グループの仙台ターミナルビル(青葉区)、電気通信工事業ガーデン(若林区)の2社に決定通知書を交付。宮城野、若林両区で募集した38区画全てが埋まったことになる。

 今回の4区画は地図の通り。貞山堀西側の3区画計約10・6ヘクタールは隣接地で体験型観光果樹園を運営する仙台ターミナルビルに決定した。サクランボやプルーンの栽培を始めるほか、飲食スペースの増設、被災したJR各線の復興状況を紹介する施設も造る方針。

 松崎哲士郎社長(65)は「(果樹園と合わせて)来場者数で日本一の観光農園にする」と力を込めた。

 貞山堀東側の1区画約0・3ヘクタールは地元・荒浜のガーデンが会員制の市民農園を整備する。同社は近くに同規模の市民農園を開設している。村川琢哉社長(52)は「地元ゆかりの人たちが集う場所にして、活性化させたい」と意気込んだ。

 市は2017年度以降、若林区の荒浜、井土、藤塚、宮城野区の南蒲生、新浜の5地区計約43・4ヘクタールを対象に事業者の公募を実施した。市役所で通知書の交付式があり、郡和子市長は「全区画で事業者が決まり、ありがたい。沿岸部に人々が憩い、にぎわいが戻れば、津波で古里を離れた人も喜ぶと思う」と話した。

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