【宝くじ】高額当せんしても「仕事をやめてはいけない」のはなぜか? 冷静にその後の人生を考える道標となる冊子の中身

1等前後賞合わせて10億円の年末ジャンボ宝くじが発売中だ(12月22日まで)。今年は1等7億円が23本、1等前後賞の1億5000万円が46本、2等1000万円が184本。当せん発表は12月31日で支払いは2024年1月9日に始まる。宝くじに高額当せんした場合、気をつけておくべきことは多い。ここでは仕事と贈与についての注意点を解説しよう。 【まとめ】高額当せん者に渡される「【その日】から読む本」に書いてあること

 宝くじの当せん金には税金がかからないが、子供に贈与する際には贈与税が、本人が亡くなった場合には相続税が発生する。過去に複数の高額当せん者からの相談を受けたファイナンシャルプランナー(FP)の高山一恵氏が説明する。 「例えば子供に1億円渡すと約5000万円が贈与税として取られます。年間総額110万円以下の贈与であれば贈与税がかからないので、毎年少しずつ子や孫に贈与するのもひとつの手です」  もうひとつ、高額当せん者の悩みは「仕事を辞めるかどうか」だ。辛い仕事はサッサと辞めて、死ぬまで遊んで暮らしたいと思う人も多いだろうが、高山氏はこう注意を促す。 「高額当せん者の多くは“仕事を辞めたい“と言いますし、実際に辞めた人は多いです。しかし、私がこれまでの事例を見て思うのは、仕事を辞めてはいけないということ。暇になると“当たった大金と向き合う時間“が増えてしまうからです。結果、散財して預金を減らしてしまったり、片手間に投資情報を集めてセミナーに参加したりして、ハイリスクの投資や詐欺で大損するケースが散見されます」  一時的に自分を見失うのは仕方がないが、大切なのは冷静にその後の人生を考えることだ。 「仕事を通じて世間と繋がり、仕事仲間と繋がることは、まっとうな金銭感覚を保つうえで必要不可欠です。心身の健康にもいい。仕事は続け、それまでの日常を極力維持しましょう」(高山氏)

『【その日】から読む本』に書かれていること

 知る人ぞ知る話だが、宝くじの高額当せん者には『【その日】から読む本』という冊子が渡される。その冊子は1000万円以上の高額当せん者だけに渡されるもので、当せん者特有の精神状況や悩みの解説から、当せんを伝える相手、お金の使い途、分与先の検討方法などが丁寧に記されている。本誌・週刊ポストはその冊子を独占入手。全3部の概要は以下の通りだ。 ●第一部「今すぐやっておきたいこと、やってはいけないこと」 ・安全のため、当せん金は銀行等の口座へ ・絶対に必要でない限り、現金は持ち帰らない ・当せん証明書の発行を依頼しておく ・今後の大まかなスケジュールを立てる ・後悔するような軽はずみな言動に注意する ・当せん直後は、興奮状態にあるという自覚を ・自分の性格やクセを見つめ直す ●第二部「落ち着いてから考えること」 ・神経質になりすぎていないかチェックを ・知らせる必要のある人を全てリストアップ ・当せん金は「使うお金」と「残すお金」に分ける ・ローンや借金の返済を優先する ・決めた使いみちを、後で見直す機会をもうける ・当せんしても自分は自分だと心得る ・誰にお金を分与するか。そのリストを作る ・贈与税について知っておく ●第三部「当面の使いみちが決まったら考えること」 ・何のためにお金を残すかを考える ・住宅・教育・老後で必要なお金を考える ・残したお金の合理的な運用法を考える ・運用におけるリスクとリターンを自分のはかりにかける ・もしもの時のために遺言状を作る ・運用法を決定する前に、専門家のアドバイスを ・最終決定は自分の責任で下す ・運用法は定期的に見直す  高額当せんによって人生が暗転することのないよう、正しい知識をもって“その日”に備えておきたい。 ※週刊ポスト2023年12月15日号

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