コロナ禍の混乱も一段落し、以前と同じく街にもにぎやかさが戻ってきた。外国人旅行者の客足も復活して、インバウンド需要も増加しつつある。海外からの旅行者たちにとって、特に観光の目玉となっているのが豊かでおいしい「日本食」だ。 【漫画】フランス人が生まれて初めて、日本の「○○」を食べて絶句…… 寿司や天ぷら、ラーメンといった定番が注目されるのは当たり前だが、国によっては「意外な食べ物」が人気を博しているという。
まさか、ラーメンを超えた……
このほど、おでんの具材やちくわなどの練り物で有名な株式会社紀文食品が、株式会社マーケティングアプリケーションズの「海外モニターアンケート」を用いてアンケートを実施(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000004204.html)。海外の4ヵ国にて「日本食(和食)の認知度」を調査した。 定番メニューが上位にランクインする中で、とりわけ興味深い結果が浮かび上がってきたのがフランス。なんと強豪たちに食い込んで、2位に「カニカマ」が躍り出たのだ。 ———- 【フランスで有名な日本食ベスト5】 1位:寿司 2位:カニカマ 3位:ラーメン 4位:てんぷら 5位:カレー ———- フランス料理といえば中国料理、トルコ料理と並んで「世界三大料理」と言われ、フランス人は味に厳しいイメージも根強い。そんな「美食の国」でラーメンやカレーを押さえて、カニカマは広く受け入れられている。 いったいなぜ、そこまで有名になったのだろうか?
日本人が知らない「surimi」
スケトウダラなどの魚のすり身から作られるカニカマは、ヨーロッパでは「surimi」と呼ばれ親しまれている。実はフランスはカニカマの消費量が世界一で、人口が倍近い日本と並んで年間約5万トンにもおよぶ(一般社団法人 日本かまぼこ協会調べ)。 特に「シェードワ」と呼ばれる柔らかいスウェーデン風のパンにsurimiと野菜を挟んだ「スウェーデン風サンドウィッチ」をよく見かけるという。もはやカニカマは、フランス人の日常生活にまで浸透していると言ってもいいだろう。 フランスでここまで受け入れられた理由について、前出のアンケートを実施した紀文のHPにて、世界の食文化の探求をフィールドワークとしている写真家でルポライターの森枝卓士氏は、以下の点を挙げて解説している。 ———- ・ 前提として、魚が肉よりも健康的というイメージが浸透している ・スケトウダラなどの白身魚から作られておりヘルシー感がありそのままでも食べやすい形状である ・欧米では食品加工及び調理法で油を利用した方法が多いのに対しカニカマは蒸すという工程で作られていて健康志向に合致した ・カニというリッチな食ベものを代替品でさほど高価でもない価格で入手できる ———- カニカマが誕生したのは1970年代前半。新潟や広島の水産加工業者が、高級品であるカニに似せたカマボコを製造したのがルーツだと言われている。それが時空を隔てた21世紀のフランスで親しまれているのだ。 インスタントラーメンやレトルトカレーと並んで、「戦後の食品の三大発明」とも言われるカニカマ。食に関する日本人の先見性の高さは、国境を越えて世界でも受け入れられつつある。 さらに関連記事【フランス人が日本の「○○」を食べて絶句……衝撃的だったという納得のワケ】では、彼らが初めて日本食を食べたときの「衝撃的なリアクション」とその理由をお伝えする。
現代ビジネス トレンド部