止まらぬ、マクドナルドの客離れ…「値上げ」のウラにある真意 いまマクドナルドで何が起きているのか

減少し続ける客数

コロナ禍の影響が薄れ、長らく低迷が続いた飲食業界にも活気が戻りつつあるが、一方で今年に入って客数が減少し続けている有名チェーン店がある。

大手ハンバーガーチェーン「マクドナルド」だ。

同社の月次報告を見ると、今年の2月以降は前年度比で全ての月で客数が減少しており、最もマイナスを記録した6月には-5.3%を記録した。

マクドナルドは、新型コロナウイルスの影響から20年3月を皮切りに客数はマイナスの傾向が続いたが、21年3月から徐々にプラスへの傾向へと変化。22年2月から23年1月までは前年度比でプラスを維持しており、順調に立て直している印象だった。しかし今年は一転、回復傾向だった客数が減少してしまっているというワケである。

一体マクドナルドで何が起きているのか。フードアナリストの重盛高雄氏に同社の現状について解説していただいた。(以下、「」内は重盛氏のコメント)

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大幅な価格改定

マクドナルドの客数が減少している理由は主に3つあると重盛氏はいう。

「1つ目は値上げです。マクドナルドでは、22年9月に約6割の品目で10~30円、23年1月に約8割の品目で最大150円の値上げを行うという大規模な価格改定を実施しました。たとえば『ハンバーガー』は、22年3月に100円から130円へと上がり、22年9月には150円、23年1月には170円にアップしています。また『ビッグマック』は390円から450円に上昇し、『マックフライポテト(Sサイズ)』も150円から190円と値上がりしました。

値上げの理由は、原材料費の高騰や円安に加え、クルーの賃金の上昇も要因だと考えられます。マクドナルドの店舗は、ほとんどアルバイトで担っていますので、クルーの定期的な雇用を確保していくためには、どうしても賃金を上げざるを得ません。ただ値段は上がったものの、商品のクオリティは以前と変わっていないんです。味は元のままなのに値段だけが上がっている状況なので、客が離れる流れはある種当然だと言えます」

なおハンバーガーは85年に210円と最高額を記録しており、ビッグマックも90年に380円と現在ほどではないにせよ高値となっていた。マクドナルドのメニューは、時期によって価格が変動するため、ネット上ではたびたび「昔のほうが安かった/高かった」という論争が繰り広げられている。だが近年は徐々に値上げの波が来ているため、高く感じるという人のほうが多くなってきたのかもしれない。

クーポンの魅力の低下

重盛氏は2つ目の理由として、クーポンの魅力が下がってきていることを指摘する。

「期間限定メニューはまだしも、恒常メニューのクーポンが減ってきていますね。以前は『プレミアムローストコーヒー』(Sサイズ、120円、Mサイズ180円)が100円になったり、マックフライポテト(Lサイズ、380円)が190円になったりするクーポンがありましたが、近年は減少。消費者の感覚からすればお得度が下がってきている印象は否めません」

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高単価路線に……?

3つ目の理由には、セット系メニューの層が薄くなっていることを挙げる。

「バーガーとドリンクのセットであるコンビメニューが少なくなりました。コンビはポテトやナゲットなどのサイドメニューがない分、リーズナブルに頼めるセットとして人気でして、ビッグマックのコンビだと400円ぐらいで頼むことができました。でも今はビッグマックのセットとなると、サイドメニューが付くものしかなく750円もしてしまい、コンビに比べると少々割高感があるのは否めません。おそらくマクドナルドとしては、客単価を上げようとする戦略に舵を切っているので、単価が低いコンビは取りやめているのだと考えられます」

マクドナルドは、客数を減らしてでも一人あたりの単価を伸ばして、業績を伸ばす戦略に向けて動いているのだという。

記事後半は「マクドナルド、業績好調も…『客離れ』で今後心配されること」から。

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