日本と台湾の地方議員の友好関係を深めるため、今年は11月18日に仙台市で開かれた「日台交流サミット」について、中国側が地元自治体に抗議していたことが19日、関係者への取材で分かった。中国側は今後の参加も見合わせるよう求めており、反発の声が挙がっている。
「『一つの中国』原則に反する。(今後)一つの中国に反する言動をしないこと」。サミット6日後の11月24日、仙台市の担当課に、宮城県を管轄する駐新潟中国総領事館からこんな電話が入った。
中国側はサミットに関する情報発信や市関係者の今後の参加も控えるよう申し入れた。宮城県の担当課も同じ頃、同領事館から「今後もやるなら関わらないように」と電話で要請された。応対した職員らは「意見としてうかがう」と述べるにとどめたという。
宮城県議や仙台市議らによる実行委が開いた今回のサミットには、約300人が出席。台湾からは駐日大使に相当する台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表や台北市議会議長、日本側は仙台市の郡和子市長をはじめとする県内の首長に地元選出の自民党の小野寺五典元防衛相らが参加し、台湾の世界保健機関(WHO)加入などの後押しを求める「仙台宣言」を採択した。
実行委員長を務めた石川光次郎県議は「台湾には東日本大震災の際にお世話になり、常々、感謝の思いを持って活動してきた。中国から抗議される筋合いはない」と反発。次回のサミットにもまとまって参加する意向を示した。仙台市の佐藤正昭市議は「台湾との議員間交流を中国政府が制約する権利はない。独裁的な中国の姿勢が現れている」と指摘した。
日台交流サミットは平成27年に金沢市で行われて以降、年に1度開催。これまでに熊本市や高知市、台湾・高雄市などが開催地となっており、第10回の節目となる来年は台湾・台南市で開かれる。
過去にも中国政府による圧力が確認されており、令和3年11月の第7回サミットの前には、開催地である神戸市の市長室に駐大阪中国総領事館職員を名乗る人物が「台湾は中国の一部であり、内政干渉だ」などと電話で中止を要請したという。