やせている人と太っている人の冷蔵庫の中はどう違うのか。管理栄養士の森由香子さんは「なかなかやせない人は冷蔵庫に3つの食材を常備していることが多い。これらはいずれも高カロリー食品だが、問題はその食べ方だ」という――。(第4回/全4回) 【この記事の画像を見る】 ※本稿は、森由香子『ダイエットしたい人のやせるキッチン』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■ごちゃごちゃの冷凍庫は太る原因に 冷蔵庫の中でも、特にごちゃごちゃになりがちなのが、冷凍庫。いつ入れたかわからない古いごはんやお餅、惣菜品、肉や魚、冷凍食品でパンパンになっている状態をよく見かけます。 これだと、食事の支度をしようと思ったとき、どんな食材がストックしてあるかもわからず、調理がどんどん面倒になってしまいます。疲れていたりすると、結局冷凍ラーメンやうどん、パスタなどをレンジで温めて食事を終わらせてしまうことが増えてしまうでしょう。 こうした炭水化物だけの食事では、当然太ってしまいます。 やせやすい体になるためには、主食、主菜、副菜をそれぞれ用意して、バランスのよい食事をすることが基本中の基本です。
■冷蔵庫に常備するだけで太る「3つの食材」 これまで4500人あまりの人々の食事内容と向き合ってきた中で、私はある興味深い事実に気づきました。なかなかやせない人が家に常備していることが多い、特に注意すべき3つの食材があったのです。 この3つの食材が冷蔵庫にいつもある人は、かなりの確率でやせにくいということです。 その食材とはズバリ、ピザ用チーズ、ベーコン、油揚げの3品。 これらはいずれも高カロリー食品ですが、問題はその食べ方です。 たとえばチーズは、1日20gまでなら食べてかまいません。でも、ピザ用チーズを常備している人は、朝、昼、晩と、かけられるものには何にでもチーズをかけて食べがちで、気づかないうちに1日100gもとってしまう人がいるのです。これだけで339kcalも、カロリーがアップします。 ベーコンも危険です。高カロリー・高脂質の代表のような食材なので、できれば食べてほしくありません。ところがなかなかやせない人は冷蔵庫に常備していて、卵料理の付け合わせはもちろん、サラダ、野菜炒め、スープと、何にでも入れてしまいます。ベーコンを食べるというより、料理にコクを出すためにだし代わりに使っているのです。 油揚げもベーコンと同様です。味噌汁、炒め物、煮物と、やはりコクを出すためにどんどん入れてしまう人がいます。豆腐から作られるので健康的なイメージがあるようですが、油で揚げてあるので決してヘルシーな食材とはいえません。 これらの食材に心あたりのある人は、要注意です。日常的に食べていたら、当然太ります。さっそく冷蔵庫を見直して、これからはできるだけストックしないように心がけてください。
■主食、主菜、副菜をパパっと調理する方法 そこで、疲れたときでも、パパっと調理ができ、しかも主食、主菜、副菜が用意できる、ごく簡単な方法をお教えしましょう。 それは、冷凍庫を、主食、主菜、副菜、その他の4つに区分けして食材を収納しておくこと。 主食コーナーには冷凍ごはんやうどんなど、主菜コーナーには調理済みの肉や魚料理、ぎょうざやしゅうまい、そして副菜コーナーには作り置きや出来合いの野菜の惣菜類、その他はそれ以外のものをすべて入れておくのです。 簡単に調理を済ませたいときは、主食、主菜、副菜のコーナーから1つずつ食材を取り出して温めれば、もうそれだけでバランスのとれた食事が完成します。献立を考えるストレスも、準備の手間も大幅に削減され、しかもやせやすい食事になります。 冷凍庫の整頓もしやすくなり、一石三鳥です。
■日本人には太りやすい時期がある 皆さんは、日本人には太りやすい時期があるという事実をご存じでしょうか。ある調査によると、日本人の体重増加がもっとも著しいのは5月で、2番目が1月、3番目は8月ということがわかっています(出典=臨床栄養 February 2023.Vol.142 No.2 特集 時間栄養学UPDATE222ページ)。 これらは、ゴールデンウィーク、正月休み、夏休みと重なっています。つまり、日本人は長い休みに太りやすいのです。
■長期休み前は事前に太る原因を解消すべし ここで、前回の長期休暇をどんなふうに過ごしたか思い出してみてください。外出した日もあったかもしれませんが、意外と家でのんびり過ごした日も多かったのではないでしょうか。 たまの休みになると、人は無意識に冷蔵庫を開けては、目についたビールや清涼飲料水を飲んだり、スイーツやおつまみを食べがちです。それが3日、4日と続けば、休みが終わる頃には当然体重はアップします。 でも、恐れることはありません。そんな休暇太りを防ぐ方法は、実は簡単。休みがはじまる前に冷蔵庫の品揃えを見直し、太る原因を事前に解消しておけばいいのです。 ハムやソーセージなどの肉の加工品、チーズ、ピザ、揚げ物、スイーツ、菓子パン、ドライフルーツ、ナッツのような、すぐに食べられて太りやすい食材や、お酒、甘い清涼飲料水、フルーツジュースなどは、できる限り厳選して、必要最低限入れておくようにすること。そして、休みが終わるまで、できるだけ補充しないようにしましょう。 冷蔵庫の品揃えを見直すだけで休暇太りの可能性を下げられるのですから、誰でも実行できるはずです。次回の長期休暇前に、ぜひ実践してみてください。
■やせやすい秘訣は野菜室にあり やせやすい人の冷蔵庫は、とにかく野菜室が充実しています。1週間の間、たっぷり野菜がとれるように、緑黄色野菜、淡色野菜がそれぞれ常備されているのです。 ですから、皆さんにもぜひ野菜室を充実させていただきたいわけですが、いざ野菜を買い込んでみても、慣れないうちは使いきれずに無駄にしてしまうことがあるのではないでしょうか。 せっかく野菜室を充実させても、実際に日々の食事で野菜を食べなければ意味がありません。 そこで私がおすすめしているのが、1週間に1度は野菜室を見直して、使い残している野菜をすべて入れて、スープを作ること。 こうすれば、緑黄色野菜も淡色野菜も、1週間のうちに全部しっかりとることができ、栄養バランスも整って代謝も上がります。 どんな野菜もスープにすればたいがいおいしく食べられますが、ものによって、夏は生野菜サラダ、冬は温野菜サラダにして楽しむのもよいでしょう。野菜スープでお腹を満たしたり、ドレッシングや調味料の使いすぎに注意してサラダをたっぷり食べたりすれば、満足感もあり、炭水化物などを食べる量も無理なく減らせます。 もちろん、余っている野菜も消費でき、食品ロスも防げます。
———- 森 由香子(もり・ゆかこ) 管理栄養士 日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。また、フランス料理の三國清三シェフとともに、病院食や院内レストラン「ミクニマンスール」のメニュー開発、料理本の制作などを行う。抗加齢指導士の立場からは、“食事からのアンチエイジング”を提唱している。『おやつを食べてやせ体質に! 間食ダイエット』(文藝春秋)、『1週間「買い物リスト」ダイエット』(青春出版社)など著書多数。 ———-
管理栄養士 森 由香子