2022年3月の福島県沖地震で被災した宮城県角田市中心部の築100年超の民家が21日、1日1組限定の古民家宿「MARUKI齋福(さいふく)」として生まれ変わった。観光利用を通じた地域活性化を目指すとともに、県内の伝統工芸品の魅力もアピールする。
仙台箪笥などの調度品展示
建物は1916年築の木造2階で、延べ床面積は約200平方メートル。全体の雰囲気はそのまま残しながら、トイレなどの水回りを新調した。広々とした居間や縁側から臨む池が印象的だ。
先祖が呉服屋や林業などを営んでいた斎藤真由美さん(73)が暮らしていたが、地震で基礎部分がずれて全壊判定を受けた。解体するか活用するか考えていた斎藤さんが、まちづくり会社ODORIBA(宮城県柴田町)に相談。古民家宿として再生させることにした。
施設名は3代目の斎藤福右エ門と屋号から名付けた。斎藤さんは「昔の家を若い人たちに見てもらい、お年寄りには懐かしんでもらえれば」と話す。
宮城県は同日、仙台箪笥を活用した宿としてODORIBAに「みやぎ伝統的工芸品サポーター企業」の登録証を交付した。嶋崎康二代表(36)は「角田市の活性化につながるよう、多くの事業者と協力してお客さんに新しい価値を提供したい」と語った。
料金は素泊まり1泊1人約1万8000円から。