熊本県内の不動産関連3団体は、2023年の県内不動産市況に関する調査をまとめた。熊本市と同市近郊(合志市、大津町、菊陽町、嘉島町、益城町)の地価動向指数(DI)は、いずれも前年から上昇。住宅地、商業地それぞれで過去最高を更新した。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出の影響が続いている。
調査は10月1日時点。不動産業者に1年前との価格の比較を聞き、475社が答えた。DIは「上昇」と答えた割合から「下落」の割合を引いた数値。
住宅地は、熊本市がプラス69・1で前年比11・1ポイント上昇。同市近郊はプラス94・9で0・3ポイント上がった。商業地は、熊本市がプラス59・6で15・1ポイント上昇し、同市近郊もプラス91・3と23・4ポイント上がった。
このほか、住宅地や商業地の取引件数、店舗・事務所とアパート・マンションの賃料水準、空室率といった各DIは熊本市、同市近郊ともに前年から改善。熊本市のアパート・マンションの空室率は、6年ぶりに改善が悪化を上回った。
3団体は「TSMCの好影響が熊本市近郊にとどまらず、熊本市東区や北区への波及が続いている」と分析。「価格上昇の背景には用地の供給不足に加え、売り手の期待感もある」とみている。
3団体は県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会県本部、県不動産鑑定士協会。12年から年1回、調査を実施している。(田代智也)