漁網を再利用、アスファルト舗装の耐久性を上げたい!宮城県と花王、日本道路が実験

宮城県が化学大手の花王、舗装大手の日本道路(いずれも東京)と共同で、古くなると捨てられていた漁網をリサイクルし、道路の舗装に活用する国内初の取り組みを始めた。都道府県別で宮城の排出量が国内最多とされるポリエチレンテレフタレート(PET)製の廃漁網の再利用を広げることで、プラスチックごみの削減にもつなげる。
(報道部・樋口汰雅)

 花王が洗剤や化粧品などの開発で培った物質の性質を変える技術を応用した。巻き網漁などで使われていたPET製の網を原料に、アスファルトに混ぜると舗装の耐久性が上がる改質剤「ニュートラック5500FN」を開発した。

 従来より2倍近い強度の舗装が可能となるという。交通の安全性が保たれる上、道路の補修が減り、工事現場から出る二酸化炭素も削減される。花王の吉川竜平エコインフラ部長は「廃棄物の削減と道路の長寿命化を実現する素材ができた」と説明する。

 岩沼市内の県道100メートルで13日に実証実験が始まった。約100キロ分の廃漁網を使用したアスファルトと従来品をそれぞれ約50メートルずつ舗装。今後1年間、ひび割れの有無などを確認し、実用化できるかどうかを見極める。

 漁網製造大手のニチモウ(東京)の試算によると、国内では年間約1000トンのPET製廃漁網が出る。そのうち漁網の修理工場が多い宮城県が5~6割を占め、ほとんどが産業廃棄物として焼却や埋め立てで処分されている。

 花王と日本道路は2020年9月から、使用済みのペットボトルを用いた道路舗装に取り組んできた。地域特有の資源の利活用を検討し、宮城の廃漁網に目を向けた。

 県は本年度、日本道路に産業廃棄物の削減や利活用に向けた研究を支援するための補助金を交付。水産業が盛んな県特有の課題解決に期待を寄せる。

 県循環型社会推進課の担当者は「県が推進する循環型社会の実現に向けて、非常に有意義だ。取り組みを後押ししていきたい」と話す。

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