2023年の宮城4魚市場の水揚げ、2カ所で震災後の最高額に

 県内の主要4魚市場は28日、今年の業務を終了し、水揚げ実績が確定した。気仙沼はカツオとビンチョウの豊漁と高値で数量、金額とも大幅に増加。石巻はサバの巻き網漁が減速した。女川はサンマの水揚げが3年連続1000トン台にとどまった。塩釜はクロマグロが好調だった。

気仙沼 カツオ豊漁で高値

 気仙沼市魚市場の水揚げ量は前年比41・4%増の6万5005トン、金額は68・8%増の233億2545万円。昨年記録的不漁だったカツオとビンチョウの豊漁と高値に押し上げられ、金額は東日本大震災以降の最高を記録した。

 カツオの水揚げ量は171・6%増の2万2765トン、金額は125・6%増の83億9486万円。27年連続で生鮮水揚げ日本一となった。ビンチョウもわずか5トンだった前年を大幅に上回る8525トンだった。

 市魚市場を運営する気仙沼漁協の臼井靖参事(60)は「来年は不漁が続くサンマやサケなど全魚種の豊漁を願いたい」と話した。

石巻 サバ巻き網漁が減速

 石巻魚市場の水揚げ量は前年比5・1%減の9万8184トン、金額は12・3%増の208億4089万円だった。

 金華さばのシーズン入りが12月26日にずれ込むなどサバの巻き網漁が減速し、水揚げ量は目標の10万トンに届かなかった。金額は震災のあった2011年以降最高を記録した。

 コウナゴは水揚げなし、秋サケも前年の5分の1となる6・5トンと不漁だったが、マダコは319トンと震災後最多だった20年を上回った。魚種別トップは養殖ギンザケで2・5%増の5977トン。金額は9・4%減の44億4675万円。

 佐々木茂樹社長は「全魚種の平均魚価212円は記録が残る1999年以降最も高い。他の安い食材に需要が流れないよう、魚食の普及や振興に力を入れたい」と語った。

女川 サンマの回復遠く

 女川魚市場の水揚げ量は前年比1・2%減の2万9235トン。金額は3・9%増の78億3666万円だった。

 主力の養殖ギンザケは4・3%増の6136トン。金額は1・2%減の45億9307万円で、全体の6割を占めた。一方、主力のサンマは岩手県沖に魚群が単発的に発生して42・0%増の1838トンだったが、小ぶりだったため金額は8億7770万円と0・6%減った。

 丹野秀之専務は「数年前1万トン以上の水揚げがあったサンマは、3年連続で1000トン台に落ち込んだ。加工や運送業、消費者への影響は大きい」と話した。

塩釜 クロマグロが好調

 塩釜市魚市場は、主力のマグロはえ縄漁のクロマグロの水揚げが年始から好調に推移し、水揚げ量は前年比14・6%増の1万705トン。金額は19・1%増の114億82万円で、6年ぶりに100億円を上回った。

 マグロはえ縄漁の金額は32・3%増の54億2085万円、巻き網漁は4・5%増の34億4279万円。巻き網漁は夏のクロマグロの水揚げが前年を下回ったものの、9月以降は好調で、今月上旬まで続いた。

 サバ・イワシ巻き網漁は海水温上昇などの影響で数量、金額とも1%前後に激減。カツオ一本釣り漁は順調な水揚げで金額が増え、搬入魚は沖合底引き網漁の搬入減や遠洋トロール漁船の修繕で金額が減った。

 市場の卸売会社、みなと塩釜魚市場の志賀直哉社長は「はえ縄漁船と巻き網漁船に時期を補い合って水揚げしてもらい、買い受け人らの努力もあって目標額の100億円を超えることができた」と話した。

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