仙台・一番町四丁目商店街に「夜市」構想 官民協力、新たな観光資源に

仙台市青葉区の一番町四丁目商店街の市道(東一番丁通、全長377メートル)に飲食ブースを設ける「夜市」構想が浮上していることが分かった。市や商店街振興組合、仙台三越(青葉区)などが協力し、新型コロナウイルス禍で疲弊した地域の新たな観光資源にしようと近く検討を始める。周辺で進む市役所新庁舎整備などと連動する活性化策の第1弾として、2024年度の実施を視野に入れる。

今夏試行案も

 関係者によると、夜市は幅15メートルの道路のうち5メートルの中央部に飲食や物販のブース、テント、キッチンカーなどを並べる。24年度は夏の期間限定で試行する案もある。市は関連事業費を24年度一般会計当初予算に計上する方向で調整している。

 一番町四丁目商店街はアーケードが設置されている市中心部6商店街で唯一、中央部に屋根がない造り。夜市は、その開放的な雰囲気を生かした取り組みとなる。「将来的に福岡・博多のような屋台街にして誘客したい」との声も根強い。

 市中心部では23年6月、JR仙台駅東口にヨドバシ仙台第1ビル(宮城野区)が開業し、人の流れは駅周辺に集中する。一方、中心部商店街で駅から最も遠い一番町四丁目商店街への人の流れはコロナ前の水準に戻っていない。近隣のファッションビル「仙台フォーラス」が3月から長期休業に入ることもあり、関係者に危機感が広がっていた。

 道路空間の中央部では商店街振興組合などがコンサートや芋煮会などの企画を展開してきたが、多くは単発だった。夜市が実現すれば仙台の弱点とされる「夜の観光」のアピールになるほか、若い世代の買い物客が目立つ駅周辺とのすみ分けも可能との見方がある。

 28年度の市役所新庁舎の利用開始、30年度完了予定の勾当台公園再整備といった動きに呼応し、市や振興組合などは夜市構想を足がかりに昼の活性策にも知恵を絞る。郡和子市長が掲げる「子育てが楽しいまち」を念頭に、商店街の道路空間や空き店舗を子どもの遊び場として活用するアイデアもあるという。

「取り残される」客足回復遅れに危機感

 仙台市青葉区の一番町四丁目商店街で「夜市」構想が持ち上がった背景には、再開発が活発化する都心部の変革期に「このままでは取り残される」との危機感がある。新型コロナウイルスの影響を脱しつつあるJR仙台駅周辺に比べて回復が遅れており、官民は「買い物客らの滞在時間の増加につながる一手が不可欠」との認識で一致する。(報道部・竹端集)

 「思ったほど人が戻っていない。肌感覚と違う」

 2023年10月末、一番町四丁目商店街振興組合の事務所に集まった関係者は驚きを隠せなかった。市経済局の担当者が持参した人の流れを示す23年秋の数値が、コロナ禍前の19年夏を下回ったためだ。

 約130店が加盟する振興組合は、商店主の高齢化や後継者不足といった課題にも直面する。30年度完了予定の勾当台公園(青葉区)再整備に伴い、多彩なイベントの会場となっている市民広場などが使えない時期も想定され、子ども連れや買い物客の足がさらに遠のく懸念も拭えない。

 「商店街の体力があるうちに手を打たないとまずい」。関係者が思い描いたのが夜市だった。日中営業の商店や仙台三越(青葉区)が閉まる夜に商店街の違った一面をアピールできる。中央部に屋根がない開放感から、屋外の活用策と親和性が高いとみる。

 23年4月に開店90年を迎えた仙台三越も「店外」との関わりを強化する。12月23、24日に商店街の道路空間でホットワインやアップルパイを販売する「クリスマスバー」を初めて企画。定禅寺通であった「SENDAI光のページェント」の見物客に好評だった。

 小宮仁奈子社長は「さまざまなイベントがある定禅寺通に接する商店街の特徴を生かす必要がある」と指摘。「『あそこに行けば、面白い体験ができる』と思える仕掛けを一緒につくりたい」と意気込む。

 市は勾当台・定禅寺通エリアの再整備に当たり、仙台駅周辺との回遊性向上を重視する。柳津英敬経済局長は「一番町四丁目商店街との連続性や一体性を持たせ、都心地域全体の魅力を高める視点が欠かせない。仙台駅周辺と並ぶにぎわいの核となるよう取り組みを進める」と強調する。

 23年4月に開店90年を迎えた仙台三越も「店外」との関わりを強化する。12月23、24日に商店街の道路空間でホットワインやアップルパイを販売する「クリスマスバー」を初めて企画。定禅寺通であった「SENDAI光のページェント」の見物客に好評だった。

 小宮仁奈子社長は「さまざまなイベントがある定禅寺通に接する商店街の特徴を生かす必要がある」と指摘。「『あそこに行けば、面白い体験ができる』と思える仕掛けを一緒につくりたい」と意気込む。

 市は勾当台・定禅寺通エリアの再整備に当たり、仙台駅周辺との回遊性向上を重視する。柳津英敬経済局長は「一番町四丁目商店街との連続性や一体性を持たせ、都心地域全体の魅力を高める視点が欠かせない。仙台駅

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