八木山動物公園の大規模改修本格化 第1弾はアフリカの動物施設西側に集約

仙台市は2024年1月、市八木山動物公園(太白区)で初の大規模改修事業を本格化させる。1965年10月の開園から58年余り。老朽化が目立つ施設の再整備を機に、まずは点在するアフリカの動物施設を園内西側(エリアI)に集約する。37年度の事業完了に向け、生息域に近い環境を整えるなど、さらなる魅力アップにつなげる考えだ。

 エリアIに整備する「総合獣舎」「ライオン舎」「一時飼育施設(非展示施設)」の配置は図の通り。24年1月下旬に、病気やけがの動物を一時的に飼育する非展示施設の建設に着手する。総合獣舎の整備は25年当初に始め、27年度末の完了を見込む。ライオン舎は28年度に造る。

 メイン施設の総合獣舎は24年秋以降に解体する「は虫類館」の跡地に建てる。(1)サイ・カバ(2)チンパンジー(3)アフリカ南東部のマダガスカル固有種-の三つの展示区画を設ける。

 サイ・カバの展示場所は屋外から屋内に変更し、常時ガラス越しに見学できるようにする。チンパンジーの区画は、生息地を模した森で動き回る様子が間近で観察可能となる。マダガスカルの区画はキツネザルとリクガメを紹介し、絶滅危惧種の保護への関心を高める解説パネルも設置する。

 ライオン舎は総合獣舎のの南東側に新設する。サバンナのように、肉食と草食の動物が同じ空間にいるような展示環境をつくる。

 非展示施設は総合獣舎の北西の空き地に建設。「は虫類館」の解体に合わせ、ヘビやトカゲ、ワニを飼育する。

 市八木山動物公園によると、22年度の来園者は49万5650人。新型コロナウイルスの感染拡大で30万人台にとどまった20、21年度から回復傾向を示すものの、53万人を超えた19年度の水準までは戻っていない。

 大規模改修では、屋内展示型の施設を複数整備し、暑さや寒さが厳しい季節も来園しやすい環境をつくる。大友嘉章管理課長は「動物への影響を最小限にしながら、来園者の快適性を高める工夫も重ねたい」と狙いを説明する。

3エリアで再整備

 仙台市が2021年8月に策定した市八木山動物公園の施設長寿命化再整備計画は、園内を三つに分けて段階的に大規模改修を進める方針を掲げた。

 市は西側のエリアI整備後、29~34年度に中央に位置するエリアIIの改修に取りかかる。

 エリアIIはレッサーパンダやカンガルー、ペンギンといった人気の動物が楽しめる。ジャイアントパンダの誘致が実現した場合、レッサーパンダの近くに展示場所を確保する。カピバラなど南米の動物を集めた「南米館」を新設し、は虫類館のヘビなども展示する。

 東側のエリアIIIは34~37年度に整備する予定。ニホンザル、ツキノワグマなど日本の固有種を中心に区画を設ける。ガン・カモ類の展示付近には、動物公園が1980年から40年以上携わっているシジュウカラガンの野生復帰事業を説明する学習施設も配置する。

 市は大規模改修の総事業費を96億6400万円と見込む。原則として、工事に伴う休園はしないという。

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