宮城・富谷に新たな工業団地200万平方メートル造成へ 鹿島などが25年度にも

 大手ゼネコン鹿島などが宮城県富谷市に約200万平方メートルの工業団地を新たに整備する方針であることが分かった。土地区画整理組合準備委員会が早ければ2025年度の造成開始を見据え、本格的な手続きに入った。
(富谷支局・肘井大祐)

仙台北部道路(左側中央)に近接する新工業団地の整備予定地南側の一部(右側の山林)=富谷市

市長「半導体進出の受け皿に」

 市や準備委によると、現段階での整備予定地の計画面積は約198万7000平方メートル。大半が山林で、鹿島をはじめ計56の法人・個人が土地を所有している。

 市中部に位置し、東北自動車道との双方向利用を可能にするフルジャンクション(JCT)化が見込まれる仙台北部道路富谷JCTの北側に近接する。

 トヨタ自動車東日本があり、台湾の半導体受託生産大手・力晶積成電子製造(PSMC)の新工場が建つ予定の第二仙台北部中核工業団地(大衡村、大和町)や、東京エレクトロン宮城の工場が立地する大和リサーチパーク(大和町)に約5~十数キロと近い。

 準備委事務局の鹿島東北支店開発部の担当者は「交通の条件も良く、多くの企業の進出が期待できる。宮城の産業振興、富県宮城に貢献したい」と言う。

 関係者によると、準備委は1999年8月に発足した。当初は立地する企業が決まった後に造成を始める「オーダーメード方式」での整備を想定し、2008年10月、宮城県に環境影響評価方法書を提出した。

 この間、企業の誘致が実現せず、24年5月を見込む県仙塩広域都市計画の改定を見据え、準備委が22年秋、造成を先行する方針に転換。市との協議を経て正式に決定した。

 若生裕俊市長は「オーダーメード方式は近年の企業のニーズに合わない。半導体業界の動きが活発になっている今、率先して受け皿をつくりたい」と話す。

 市によると、新団地の候補地は県仙塩広域都市計画の次期改定で市街化区域編入に向けた「一般保留地区」に指定される見通し。

 準備委などは事業場用地造成に伴う環境影響評価準備書を作成中。住民説明会や技術審査会、評価書の告示などを経て、25年度にも市街化区域編入を申し出、造成に着手したい考えだ。

実現なら宮城屈指の規模

 100万平方メートル以上の工業団地は宮城県内で一部に限られ、富谷市内に約200万平方メートルの新団地ができれば屈指の規模となる。既存の団地も既に多くの企業が進出し、分譲できる区画が限られつつある。半導体産業を中心に大工場の進出が決まる中、企業集積が加速するとの期待が高まる。

 市によると、鹿島などが整備を目指す団地の敷地は最長部で南北に約1700メートル、東西に約1200メートルになる見通し。

 約200万平方メートルの面積は宮城県内の工業団地で、仙台塩釜港(約328万平方メートル)や第二仙台北部中核(約309万平方メートル)、第一同(約299万平方メートル)に次ぐ広さとなる。

 県産業立地推進課の担当者は「100万平方メートルを超す広い宅盤(地盤面)を持つ団地が新たにできれば、まとまった面積を求める企業を誘致する上で制約が減る。県としても支援したい」と歓迎する。

 県内の既存の工業団地は手狭になりつつある。県は第二仙台北部中核工業団地の一部約45ヘクタールを追加造成中で、25年4月ごろに約30ヘクタールの分譲開始を予定する。

 関係者の間では、同団地にPSMCの新工場建設が決まり、今後、半導体産業を中心に関連企業の進出が増えるとの見方がある。同課は「規模の大きい新しい団地ができることで企業の立地が進み、さらなる立地につながる好循環ができるといい」と言う。

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