「もう住めない」道路波打ち液状化 金沢市隣接の町でも被害は深刻

能登半島地震では、金沢市に隣接する石川県内灘町でも大きな被害が出ている。液状化によるとみられる家の沈下や道路の隆起などで、家に住めない状況は同じだ。

 県庁から車で15分ほどの沿岸部、鶴ケ丘地区を9日に訪ねた。電柱や看板は傾き、道路は隆起し、砂があちこちで噴き出ている。地割れが多かった奥能登地域の道とは、また様相が違う。民間の検査員が家の沈下幅を調べていた。

 「建て替えるわけにもいかんし、もう住めんな」

 家が少なくとも40センチ沈んだ根布長(ねぶちょう)満さん(80)はこう語る。自宅のすぐ前の近所の家は、敷地のコンクリート地面と道路側の地面が液状化で60センチも離れ、間から砂が出ていた。「先行きは全然見えない。置いてけぼりにならないよう、内灘にも目を向けてほしい」

 幹線沿いにある「8番らーめん内灘店」も、液状化が深刻だ。店の前を走る幹線道から少なくとも70センチ、敷地が隆起したという。店を営む山岸千太郎さん(49)は元日、妻の古里・珠洲市中心部で被災し、1週間ほど避難所におり、内灘へ戻ってあぜんとした。店に隣り合う自宅も液状化で傾いており、「ダブルパンチです」と肩を落とした。

 鶴ケ丘に近い西荒屋地区では地面が波打ち、さまざまなものが傾き、工事や通行止めが目立った。

 県によると、内灘町の家屋被害は「多数」で、数字が出ていない。周辺のかほく市でも液状化被害があるが、これも「多数」だ。県は内灘町の状況は把握し、対応していくとしている。(土井良典)

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