2023年の上場企業の自社株買いが、金額ベースでは過去最高を更新したことが10日、明らかになった。 SMBC日興証券によると、東証株価指数(TOPIX)を構成する企業が決議した自社株購入額は計9兆3860億円と、22年の9兆2221億円を上回った。企業の資本効率の改善や株主還元に対する姿勢の変化を投資家が好感しており、株価上昇の一因となっているようだ。 企業が自社株買いを決議すると、資本効率を示す指標や需給の改善が見込まれるため、株価が上昇する傾向にある。近年は機関投資家が企業に対し、株主還元の強化策として自社株買いを求めることが増えている。 こうした流れを加速させたのが、23年3月の東証の要請だ。上場企業に資本コストや株価を意識した経営を求めたことで、特に株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業で経営の改善に向けた圧力が強まり、自社株買いの発表が相次いだ。 SMBC日興の伊藤桂一チーフクオンツアナリストは加えて、株式持ち合い解消に向けた手段として、自社株買いが使われている面もあると指摘する。24年も企業を取り巻く環境に変化はなく、「高水準の自社株買いが継続するのではないか」と見込む。