「頼氏当選」身構える中国 力ずくで独立阻止か 台湾総統選

【台北時事】中国は13日投開票の台湾総統選で、「台湾独立勢力」と見なす与党・民進党の頼清徳副総統が当選する事態に身構えている。 【ひと目でわかる】台湾総統選の立候補者  民進党政権がさらに続けば、習近平国家主席の公約とも言える台湾統一が遠のくためだ。習氏が側近らに厳命しているはずの「頼氏当選阻止」に失敗すれば、力ずくで台湾独立を押さえ込む可能性がある。  「台湾を中国から切り離しかねない重大な事案が発生した時、非平和的方式とその他の必要な措置を講じ、国家主権と領土保全を守ることができる」。中国の反国家分裂法の第8条は、台湾独立に絡んで武力を行使する条件の一つとして、こう明記している。専門家の間ではこれまで、台湾の「国名」変更などを想定していると分析されてきた。  しかし、何が「重大な事案」に該当するかの解釈を行うのは習指導部だ。民進党の長期執政が決まった時点で習氏が「武力行使の条件を満たした」と判断する可能性を指摘する専門家もいる。1996年の直接選挙導入以降、同じ政党が3期連続で政権を担ったことはなく、頼氏が当選した場合、蔡英文政権と合わせ3期12年が確定するためだ。  習氏は2022年の共産党大会で「統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と高らかに宣言。27年までの党総書記としての3期目任期中に台湾統一に道筋を付けることに強い意欲を示した。総統選を控えた先月31日には、テレビ演説で「祖国統一は歴史の必然」と強調している。  習氏の台湾統一へのこだわりは、建国の混乱期を除けば歴代指導者の中で突出している。北京の外交筋の間では「建国の父、毛沢東ですらなし得なかった統一を実現することで、毛を超える指導者になろうとしているのではないか」ともささやかれる。

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