酒類販売のやまや(仙台市)が東欧産ワインの販売に力を入れている。かつては主産地のフランスやイタリアの陰に隠れた存在だったが、近年は品質の高さを評価する愛好家が増加。やまやは取扱商品を増やしながら、東欧産の魅力をアピールしたい考えだ。
同社が東欧産ワインの販売を始めたのは2018年、ハンガリー産の「オシュトロシュボール」という銘柄が最初だった。それが現在はルーマニアやブルガリア、戦禍にあるウクライナなど6カ国の40銘柄にまで拡大。販売量も右肩上がりが続く。
東欧産ワインは1本当たり平均1500円程度と価格の手頃さが魅力。味も果実味と酸味のバランスが優れた銘柄が多いという。
中でも近年は、ワイン発祥の地とされるジョージアの銘柄「ダグラッツェ」が人気。赤と白のほか、白ブドウを使って赤ワインのように造った「オレンジ」があり、いずれも食事に合わせやすいのが特長だという。
東欧産が伸びた背景には、地球温暖化が影響しているとの指摘もある。西欧では高温などによるブドウの不作が相次ぎ、原材料価格が高騰した産地もある。一方で東欧は、ハンガリーやルーマニアなどの欧州連合(EU)加盟で技術交流が活発になり、ワインの生産レベルも向上した。
追い風を受け、やまやは昨年10月、全345店で東欧産ワインの棚を2倍に拡充。「知られざるワインの宝庫 東ヨーロッパ」との看板を掲げてPRする。
3月ごろには7カ国目となるモルドバ産を初投入する計画。商品部の渡辺英明次長(44)は「東欧産ワインはまだまだ伸びしろがある。西欧産との両輪でおいしいワインを紹介していきたい」と意気込む。