東北電力が10日、女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を5月から再延期すると発表したことについて、立地自治体の首長らは安全を最優先させる対応だと理解を示した。市民団体からは東北電の技術力を疑問視し、再稼働中止を求める声が上がった。
「やむを得ない」「根本的に検証を」
村井嘉浩宮城県知事は県庁で取材に応じ「原発は重要なベースロード電源だが、安全はそれに勝る。いざという時に重大事故につながらないようにするのは極めて重要で、やむを得ない」と東北電の対応を評価した。
石巻市の斎藤正美市長は「今後も安全性のさらなる向上に努め、住民に対する説明責任を果たしていくよう求める」との談話を出した。女川町の須田善明町長は能登半島地震で被災した北陸電力志賀原発(石川県志賀町、停止中)に触れて「今後、安全性の向上に必要な知見が得られれば振り返り、取り組みに反映してほしい」と要望した。
女川原発30キロ圏に入る東松島市の渥美巌市長も「安全が第一であり、工事の遅れによる再稼働延期はやむを得ない」とコメントを発表した。
市民団体からは再稼働延期を重ねる東北電の技術力を疑問視する声も出た。「女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション」の篠原弘典世話人は「安全対策工事をきちっとやりきれないようでは安心できない。東北電の技術力や女川原発の安全性を根本的に検証し、再稼働は中止すべきだ」と述べた。
追加実施の安全工事遅れ、数ヶ月程度延期に
東北電力は10日、女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働時期について、計画していた5月ごろから再延期すると発表した。追加で実施中の火災防護対策工事の工期が延び、安全対策工事全体の完了と再稼働の時期がともに数カ月程度遅れる見通しになった。
東北電によると、原子炉建屋などの設備・機器に接続する電線の金属管に耐火材を巻き、耐震補強も行う火災防護対策工事の量が現場状況に応じたルート変更などで増えた。電線管工事は予定していた42カ所の計300メートル分から、52カ所の計430メートル分に拡大した。現時点で21カ所の計190メートル分が完了していない。
東北電は昨年9月にも、追加で必要になった火災防護対策工事の工程を精査し、安全対策工事完了を従前の昨年11月から今年2月に、再稼働を今年2月から5月ごろにそれぞれ延期していた。安全対策工事完了の延期は今回で7回目。
東北電は電気料金引き上げによる増収などを背景に、2024年3月期連結決算で過去最高の純利益1400億円を見込む。25年3月期は今回の再延期で火力燃料費が月100億円程度がかさむと想定される。
女川2号機は東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型軽水炉(BWR)で、5月ごろに再稼働すれば福島第1原発事故後、初のケースになるとみられていた。BWRでは中国電力島根原発2号機(松江市)が8月の再稼働を予定する。
東北電の青木宏昭原子力部長は「BWRで最初という目標で進めてきたので、非常に重く受け止めている。次に工事完了の目標を示すときは見直しがないようにしたい」と話した。
このニュースはバカすぎるね。記事のトップに「技術力に市民団体が疑問」とかって、市民団体の中に原子力の技術者がいるんだ?という荒唐無稽な疑問。工法とか素材とか、工事の内容とかってそんな専門知識がきっとあるんだろうな?記者さんもね。