アイリスグループ、2期連続減収減益 23年12月期 円安や巣ごもり需要減少響く

アイリスオーヤマは11日、2023年12月期決算(速報)を発表した。国内外グループ30社の総売上高は前期比4・6%減の7540億円、経常利益は12・3%減の320億円だった。グループの減収減益は2年連続。円安と国内インフレに加え、新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要の減少が響いた。設備投資の国内回帰を進め、好調な食品事業などの拡充を図り、増収を目指す。

 中国での製造比率が高い中、円安による原価高騰などが減益要因。単体の売上高は前期比9%減の2280億円、経常利益は11・3%増の157億円となった。

 新型コロナ禍で堅調だった家電事業の売り上げは13%減。調理関連の苦戦で白物家電も伸び悩んだ。マスク事業も33%落ち込んだ。

 一方、国内で積極投資してきたパックご飯、飲料水などの食品事業は21%伸びた。法人向け省エネソリューション事業も18%増。サービスロボットの出荷台数は、21年の事業開始から累計1万台を超えた。

 24年の目標売上高はグループが8800億円、単体は2555億円とした。設備投資の国内回帰を継続し、パックご飯の生産能力を1・5倍に、飲料水を1・6倍に高める。23年比約1・2倍の270億円の投資を予定している。

 家電事業では、大型家電を倉庫から直接、消費者へ配送する仕組みを創設する。法人向けには、27年の蛍光灯生産・販売終了を見据え、発光ダイオード(LED)照明の普及を加速させる。

 仙台市内で記者会見した大山晃弘社長は「反省は多かったが、成功もあった」と23年12月期を振り返り、グループ売上高1兆円の目標に関し「ホップ、ステップ、ジャンプで26年には達成したい」と強調した。

正社員、5%賃上げ

 アイリスオーヤマは11日、4月から正社員約4400人を対象にベースアップ(ベア)を含めて賃金を引き上げると発表した。基本給のベア率は約3・5%、定期昇給分を合わせた賃上げ率は約5・0%となる。

 5年連続の引き上げで、上昇幅は前年と同水準。賃上げの概算金額は平均して月1万2000円程度となる。19年を基準とした累積の賃上げ率は約26%になる。

 人的投資を巡っては、グループで24年に420人の新規採用を見込む。23年は574人が入社した。

 記者会見で大山晃弘社長は「優秀な人材を採用し続け、企業の成長につなげる。(賃上げで)内需の拡大にも協力したい」と話した。女性管理職の割合を中期的に現在の15・7%から20%に引き上げる考えも示した。

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