最大震度7を観測した能登半島地震で、被災建物の倒壊危険度を調べる「応急危険度判定」を石川県内で実施したところ、13日時点で約3割が「危険」とされていることが県の集計で判明した。輪島市では約6割が危険に分類されている。これまでの地震と比べても危険の割合が高く、今回の建物被害の深刻さが浮き彫りになった。 【写真】「早く行けっ、逃げろ!」振り返ると夫の姿はなかった 地震発生から15日で2週間となるが、被災が甚大だった地域ではまだ判定が進んでいない。建物被害の全容把握には時間がかかりそうだ。 応急危険度判定は、余震による家屋の倒壊など2次被害を防ぐため、被災建物の状況を自治体職員ら判定士が調査するもの。立ち入るのが危ない「危険」(赤)▽十分に気を付ける必要がある「要注意」(黄)▽当面は安全な「調査済み」(緑)――の3段階で判断し、該当する色の紙を建物に貼る。罹災(りさい)証明書の発行に関し、被災家屋を「全壊」「半壊」などと区分けする自治体の調査とは別の手続きになる。 県によると、13日時点で10市町の1万6046棟で調査が行われ、危険と判定されたのは5460棟で34%を占めた。要注意は4506棟(28%)だった。 津波や火災で被災した建物は判定の対象外のため単純な比較はできないが、危険の割合は東日本大震災(12%)や阪神大震災(14%)を大幅に上回る。熊本地震(27%)と比べても高い数字だ。今回の被災地は木造住宅が多く、甚大な建物被害を招いたとみられる。 10日に調査を始めた輪島市は、危険と判定された建物が全体の58%に当たる1329棟に上る。市の担当者は、1981年の建築基準法改正前に旧耐震基準で建てられた木造住宅が多数倒壊していると説明。道路寸断の影響で調査開始が遅れ、「判定対象の建物数もまだ確定できていない」と話した。今後の調査で、危険と判定される建物数が増える可能性がある。 馳浩知事は14日、報道陣に「高齢者が多い地域で、後継者がいない。住宅の改築や新築が遅れていたことに一つの要因があるのではないか」と述べた。県内の死者は14日、前日より1人増えて221人になった。【郡悠介、黒詰拓也】